【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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254: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:24:22.89 ID:Bg3Eqo0s0

もう少しの間だけでも触れていたかったが、差し迫る時間は待ってはくれない。
仕方ないと割り切って、もともと入っていた場所に戻そうと、このみは手を動かした。
けれど、その手を引きとめるみたいに、このみの胸の中で声がした。

以下略 AAS



255: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:26:16.51 ID:Bg3Eqo0s0

ケースの置かれた机のすぐ脇は、ステージへと出ていくための通路になっていて、そこから光溢れるステージへと袖幕の道が伸びていた。
光に導かれるように、このみは歩き出す。
5秒前のカウントが始まった。
このみは前を向いて、この道の上に立っていた。
以下略 AAS



256: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:26:45.26 ID:Bg3Eqo0s0

先程まで舞台に立っていたばかりのアクアリウスの3人も、そこにはいた。
どういう訳か、麗花は体の前で琴葉を抱えている。
麗花は、後ろからひょっこり顔を出して、このみに手を振っていた。

以下略 AAS



257: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:27:14.52 ID:Bg3Eqo0s0

これから歌うのは、鶴の物語。
深く雪降る世界で、鶴が人間として青年と共に過ごした日々。
そして、最後に鶴が決めた、一つの選択。

以下略 AAS



258: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:28:06.81 ID:Bg3Eqo0s0

びゅうびゅうと風が雪を叩きつける音が、響いていた。
白いピンスポットが暗転したステージの下手端に投げかけられて、このみを照らしだした。
このみの膝くらいの高さまでスモークが焚かれていて、舞台はまるで雪で埋め尽くされたように染まってしまっていた。
凍えてしまわぬようにと、このみはぎゅうと腕を抱えた。
以下略 AAS



259: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:28:42.33 ID:Bg3Eqo0s0

そのとき、このみの目の前に薄桃色の光が照らし出された。
このみはその光を見てゆっくりと顔を上げた。
桃色の光はスモークで散乱して、まるでこのみの目の前に誰か立っているように見えた。

以下略 AAS



260: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:29:49.22 ID:Bg3Eqo0s0

光が戻ったとき、このみは白い光に照らされてステージの中央に立っていた。
このみが目を開けると、その先にはこのみをじっと見つめる眼差しがあった。
ペンライトを胸の前で抱えて、祈り見守るような、そんな人たちをこのみは見た。

以下略 AAS



261: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:31:41.37 ID:Bg3Eqo0s0

目の前には、ファンのみんなが居てくれる。
ずっと近くに居てくれた大切な貴方へ、届けたい言葉があるの。
新しい場所へ向かう私を、安心して送り出してもらえるように。
貴方が見つけてくれた私が、最高のアイドルだったと、胸を張って言ってもらえるように。
以下略 AAS



262: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:32:44.83 ID:Bg3Eqo0s0

『love song のようにきらめき
 love song のようにときめき』

雪のように真っ白な、無垢の光の中でこのみは歌う。
以下略 AAS



263: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:33:07.00 ID:Bg3Eqo0s0

この歌『dear...』は、大切な人とすれ違ってしまって、自分の気持ちを伝えられずにいる……切なくて、とても悲しい歌。
自分の気持ちに気が付かなかった頃と違って、もうこの気持ちに出逢ってしまったから。
貴方に気持ちを伝えて、叶わぬ恋だと突きつけられてしまうのが怖くて。
──伸ばした手が、相手に届かなかったのなら。
以下略 AAS



264: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:33:40.24 ID:Bg3Eqo0s0

『夢でもいい 叶えてよ』

でも、きっと本当は分かっていた。
このままの自分だと、大切な人が見つけてくれた自分を、誇りに思えない。
以下略 AAS



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