130: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/02/09(日) 15:55:56.25 ID:lT49CYaR0
ともあれ、ようやく控室に平穏な時間が戻ってきた。
先ほどまでハム蔵の捜索班だった大神環は、美也に誘われて囲碁の対局の観戦に加わっていた。
海美と並んで、しばしば二人してうんうんと唸ったりしていて、
そのたびに、美也たちが「ここは……」と考え方を説明していた。
131: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/02/09(日) 15:57:14.50 ID:lT49CYaR0
このみは部屋を見回してそう呟いた。
亜美たちを探しにこの部屋に来たときには、百合子や紗代子といった、
ちょうどいま宿題に奮闘しているグループしか部屋にいなかったはずである。
それがいまでは、騒がしさには絶え間がなく、部屋も前より狭くなったんじゃないかと感じるほどになっていた。
132: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/02/09(日) 15:59:24.01 ID:lT49CYaR0
「琴葉ちゃん。……そういえば、さっきは大丈夫だった?」
「さっき……?………あっ!」
133: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/02/09(日) 16:16:06.81 ID:lT49CYaR0
そんな琴葉の様子が可愛らしくて、このみはもっとつつきたくなってしまいそうになる。
そうこうしていると、そばにいた昴が頬を染める琴葉を見て、思い返すように言う。
134: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/02/09(日) 16:17:17.79 ID:lT49CYaR0
「琴葉っていつだってビシッとしてるからさ。
オレなんてさ、ヒラヒラした衣装を着る、ってなったときとか、
まだ恥ずかしくって顔に出ちゃうときがあるんだよな。」
135: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/02/09(日) 16:31:56.09 ID:lT49CYaR0
「このみさん?」
「ふ、ふふ。ごめんなさいね。なんだか面白くって。」
136: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/02/09(日) 16:36:05.78 ID:lT49CYaR0
このみが琴葉の方を向くと、そこで二人は目が合った。
琴葉は、また少しだけ驚いた様子で、このみをじっと見ていた。
「そうよね、琴葉ちゃん。」
137: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/02/09(日) 16:44:48.05 ID:lT49CYaR0
自身の胸に手を当てながら、琴葉は昴の目を見て言う。
大切なものを抱えるように優しくて、それでいて真っ直ぐにそれを見つめる琴葉の横顔に、このみは目が離せず、惹きつけられるようだった。
「……琴葉がオレたちのことを思って注意してくれてるのは、分かってたつもりだったけど……。」
138: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/02/09(日) 16:45:46.62 ID:lT49CYaR0
そんな琴葉を見て、昴は何かに気がついたようだった。
昴は、ずい、とそのまま一歩近づいて、何か言う訳でもなく琴葉の顔をすぐそこで見つめていた。
「す、昴ちゃん……?」
139: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/02/09(日) 16:46:50.98 ID:lT49CYaR0
「……なんていうかさ、その……。ちょっと恥ずかしいけどさ。
琴葉はそうやって笑ってた方が、やっぱりかわいいよなー、って。」
「かっ、かわ……!」
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