16:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:39:42.79 ID:VZdRWGZA0
17:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:40:33.04 ID:VZdRWGZA0
戦闘が起きた宇宙空間の遥か彼方で、その光景を眺める一人の少年の姿があった。
銀髪の少年は、事の顛末を全て予見しているような表情で、地球に向かって降下する光を見ていたのだった。
18:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:44:24.52 ID:VZdRWGZA0
■ヱヴァンゲリヲン新劇場版ifルート
19:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:45:20.79 ID:VZdRWGZA0
シンジは突然目を覚ました。そこは、赤い光によって不気味に照らされた、隔離施設のような部屋だった。シンジが目覚めたのは、その中に置かれた無骨な装甲で被われているベッドの上だった。
慌ただしく駆けていく足音と、ストレッチャーの車輪がきしむ音とが、廊下に響き渡る。シンジの目覚めたベッドは、何者かによってエレベーターに乗せられて、どこかへ移動しているようだった。
「心肺機能は正常です。四肢の麻痺も認められません。ハイ。目は開いてます」
シンジの直ぐ近くで、若い女性の声が聞こえる。その女性は、仰向けになって天井を見上げているシンジの視界を覗き込むようにして、シンジに声を掛ける。
「私の言葉が理解できますか?」
20:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:46:29.00 ID:VZdRWGZA0
「ここは……どこですか?」
「言葉は話せます。意識は戻ったようです」
ベレー帽の女の子は、その質問には答えずに状況報告に務める。彼女は、シンジの寝ているベッドの横に座り、通信機器で外部と連絡を取っているようだった。この場所が病院でないことは容易に想像が付いた。なぜなら、シンジの両手、両足はベッドに拘束され、ベッドの四隅に銃を構えた軍人らしき男達が立っていたからだ。
「確か……綾波を助けて……」
シンジは過去の記憶から今の状況に繋がるまでの道筋を探そうとしていた。
21:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:47:40.64 ID:VZdRWGZA0
──エレベーターが地下のフロアへ到着して、シンジの乗せたベッドは巨大な空間へと運ばれて行く。周囲には、何らかの作業を進めるスタッフの声が飛び交っていた。
『補給作業、搬入リストの86%までクリア』
「稼働中のN2リアクターは出力で90%を維持、圧力便は手動で解放してくれ」
「半径1200以内に艦影なし。未確認飛行物体も認められず」
「乗員の移乗は、Dブロックの船を最優先」
22:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:50:04.62 ID:VZdRWGZA0
シンジは、体にまとわりついた重力を引きはがすようにして、ベットからゆっくりと体を起こす。
ブリッジの上に佇む女性の背中に目を向けた。その時、周囲のスタッフたちの妙な気配に気付き、彼らのいる方へと視線を送った。
彼らは、各々の持ち場に付きながらも、明らかにシンジのいる方へ意識を集中させていた。彼らは、憎しみとも怯えとも付かない表情を浮かべて背中越しにシンジを見ていた。シンジは自分の置かれている状況が把握できずに動揺する。そして、その答えを求めるようにして、ブリッジの女性の方へ顔を戻した。
「……ミサトさん?」
23:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:51:07.76 ID:VZdRWGZA0
「そうね。物理的情報では、コード第3の少年と完全に一致。生後の歯の治療跡など身体組織は、ニアサー時を100%再現しているわ」
カーキ色のジャケットに身を包んだ女性は、電子カルテを眺めながらそう言った。金色の短髪と知的な声、そして彼女の発する語彙から、その女性は赤城リツコであることが伺えた。シンジはベッドから降りると、素足で床の上に立ち尽くしてブリッジを見上げた。
「なお、深層シンクロテストの結果は分析中」
リツコは、冷静沈着な口調で淡々と状況の説明を続ける。
「頸部へのDSSチョーカーは?」
24:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:54:05.60 ID:VZdRWGZA0
「葛城、艦長って……? でも、やっぱりミサトさん?」
その時、シンジの首に巻かれていたチョーカーから電子音が発せられた。
「あれ……?」
リツコは、手に持っていたコントローラーを操作して、表示されたステータスを“ACTIVE”に切り替える。
「作動正常。パスコ―ドは艦長専用に」
25:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:54:55.73 ID:VZdRWGZA0
シンジはチョーカーに手をかけて、首に巻き付いた鉄の輪を剥がそうとする。
「絶対にはずしませんよ……それ……」
ベレー帽の女の子は、両手でバインダーを抱きかかえながら独り言のようにつぶやいた。
「面会終了。彼を隔離室へ」
そう言ってミサトはモニターの方に向き直す。シンジは手を止めて唖然とした表情をブリッジに向けた。
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