98:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 01:15:43.36 ID:SYS+AFC90
気づくと夕美ちゃんは、いつの間にかあたしの隣に座っていた。
「貸してっ」
言うが早いか、あたしの手の中にあったスコップをサッと取って、穴を掘り始める。
あんなに手強かったはずの岩がザクザクと土塊に変わり、見る見るうちに穴が大きく深く広がっていく。
「本当だったら、キンモクセイみたいに大きな根鉢を植える時は、片手サイズのじゃなくて、もっと大きなスコップがいいんだけど。
こういうのは、ただ突き刺すんじゃなくて、手首をこう、何ていうのかなぁドリルみたいに捻って返してあげるといいの。
それと、根鉢とピッタリのサイズだと、周りの硬い土より外に根が広がっていかないから、少し大きめに……っしょ、っと……」
逆手に持ち替えて、今度はだいぶ乱暴にスコップを突いて、穴の側面を削っていく。
「よっ、ほ……えへへ、あの、小手先のコツだけだと、本当に硬い土が相手じゃ、限界があるでしょ?
だから、こうや、って! ちょっとちから、まか、せっ! に! っと……ふぅ、志希ちゃん交代っ」
「……にゃははー、オマカセあれ!
ただ、あたしは箸より重たいものなんて持てないからすぐ代わってねー♪」
「さ、さっきまで志希ちゃん自分でやってたでしょ!?」
「キミがいなかったからー♪」
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