74: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/29(月) 00:23:11.90 ID:uFnZQdOAo
「ああやって、自分らしく! っていう感じで立派に活動してらっしゃるのがとっても羨ましくて。 私も見習いたいなって、思っていました」
「……そ、そんな風に思ってもらえてたなんて……ナナ、嬉しいです!」
舞い上がって思わず少女の両手を掴み、ブンブンと振り回してみせる。
うふふ、と笑い続ける少女と、「何やってんだ」とも言いたげなプロデューサーがやけに対照的に映った。
「菜々さんみたいな方とここでまた出会えて、私、幸せです」
「あ、ありがとうございますっ! よろしくお願いします!」
手を握り合ったまま、あ、と少女が続ける。
「自己紹介が遅れましたね……長富蓮実といいます。 この春、アイドルになったばかりです」
「わぁ……長富、ってずいぶん珍しい苗字なんですね?」
「島根の出なので。 地元では何人かいましたよ」
「なるほど、そうなんですね。 ずいぶん遠くから……」
「?」
「いえ、何でもありません」
遠くからご苦労でしたねぇ、などと言いかけて、なんだか“おばあちゃん”の台詞みたく感じ、とっさに続きを喉の奥へ引っ込めた。
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