【デレマス】 偶像ルネッサンス
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67: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/29(月) 00:07:51.15 ID:uFnZQdOAo
 
「長いことここで頑張ってきました……いつまで経っても全然売れないし、昔の同僚は結婚とかしていってるのに、ナナはずっと変わらずアイドルやってるまま
 ……きっと笑われちゃいますよね」

珍しくこんなにあっさりと弱音を吐けることが、自分のことながら不思議に思えてくる。
ようやく男の顔がうっすらと判別できるようになってくると、今度は何だか気恥ずかしくなってもう一度、
フィルムを被せて原色に染めただけの安っぽいライトの照らす先を見つめた。

「んー……ま、そうかもな」
「分かっていただけますか、ナナの気持ち……」
「確かにあんた、今時ベッタベタな設定てんこもりだもん」
「ちょっ……せっ、設定とか言わないでください! ナナはこれでも真剣なんですっ」
「そうかい、そうかい」
「……むー」

あしらう男に向けて、わざとらしく頬を膨れさせてみせる。
ただ、事実を押し返して自分を演じきる気力がどうしても今の菜々にはなかった。

「でもさ、いいことじゃん。 他人にどう思われようとも、貫きたいもんがあるんだろ?」
「……そういう風に言えば、聞こえはいいかもしれませんね」

もはやそういう理想論で突き進めるほど純真でもない。無垢でいるには菜々は余りに長くアイドルをやり過ぎたのだ。


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