64: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/28(日) 23:58:46.88 ID:LYkOi8G4o
一日で二人以上のファン──たまたま来てみただけとも言っていたが、一度会えば彼女にとってはもう大切な──と交流をしたのは久しぶりだった。
それだけで菜々のこの一瞬は満たされたものになる。
先の見えないアイドル活動であったとしても、少なくとも明日への活力にはなる。
「改めまして、永遠の17歳、メルヘンアイドル・ウサミンこと安部菜々をよろしくお願いいたしまーす!!」
本日最後のお客さんを元気よく見送って、菜々の長い一日もようやく終わった。
劇場の扉がうるさく閉じられたのを確認して、うっすらと綻んだ顔のまま、菜々はそそくさと管理人の元へ戻る。
「ふぅ〜……今日もバッチリでしたね!」
「あぁ…………あのさ、ナナちゃん、言いにくいんだけどね」
「はい? なんでしょう」
「……実は」
だが、充足感あふれる面持ちの菜々を、管理人からの知らせは冷たく突き落とした。
「ここ、閉鎖が決まったんだ」
「……え?」
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