50: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:37:32.98 ID:8+PeY8Rzo
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「少し遅くなったな。 長富も今日は疲れたろ」
「すみません、わざわざ……」
「いいんだよ、これも仕事だから」
家まで送ってくれることに関しては、ちひろが促してくれたおかげではあるが。
346プロの社屋を出てしばらく歩いた先は、駅から5分ほどにある繁華街の裏通り。
平日といえどもここは夜になれば行き交う仕事帰りのサラリーマンでごった返す。
人混みの合間に覗く雑多な看板の光が通りの果てまでひしめき合う中、蓮実はプロデューサーの三歩後ろからその足音を追っていた。
混じり合う話し声、歩行者信号の補助サイレン、街頭アナウンスが、ぐちゃぐちゃの雑音のままするすると耳を横切っていく。
そうして黙々と歩き続けているさなか―――何かを気に留めるつもりもなかったはずなのに、とある雑居ビルの入り口に近づいた折、
蓮実の頭の片隅にあった小さな思い出が震えた。
大事な約束を思い出そうとするみたくぴたりと足を止めた蓮実に、プロデューサーも4、5歩ほど進んでから振り返ってようやく気がつく。
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