49: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:34:01.86 ID:8+PeY8Rzo
「だからさ。 お前のプロデュースは他と違って、ちょいと変わった方法で攻めなきゃいけない」
「変わった方法ってなんです?」
黙って聞いていただけの蓮実の代わりに、ちひろが口を挟んだ。
「それがまだ固まってなくてねぇ。 目星はついてるんだけど、それには材料が足りない」
「材料?」
「うん。今のままじゃまだ始められない……それはゆくゆく探していくよ」
プロデューサーの口ぶりは、その頭の中に既に頂点へのビジョンが見えているとでも言いたげに思えた。
一言だけ、楽しみにしています、と伝えておく。
「そんなことよりも、プロデューサーさん。 蓮実ちゃん、きっと初ステージで相当疲れていると思いますよ? 今日のところは上がらせた方が……」
「……あぁそうだな、悪い。今日のところはもう帰っていいよ」
「あ、はい……ありがとうございます」
席を立って荷物をまとめようとする蓮実を引き留めて、ちひろがプロデューサーの背中をぱしんと叩く。
「プロデューサーさん? 分かってますよね? 10代の少女を、こんな時間に一人で帰らせるつもりですか?」
「………………気が利かなくてごめんなさいね」
「よろしい」
ふん、と満足げに鼻を鳴らすちひろと、仕方ないと言わんばかりに重い腰を上げるプロデューサーに、
何となくこの二人の関係性を垣間見た気がして、蓮実は微笑みを滲ませた。
91Res/93.64 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20