47: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 23:27:10.05 ID:8+PeY8Rzo
「ただ、俺は長富の考えを尊重したい。 なんせ俺は昔の流行の事なんてほとんど知らないし、実際にアイドルをやるのは長富だからな」
「私の考え?」
「……清純派が帰ってきたと知らせたいのはレトロアイドル好きの連中に向けてか? アイドルを好きな人間全員にか?
あるいは――世の中全ての人間か?」
──けれど、分からない。
もちろん、伝説たちに重ねてきた自分の夢だから憧れなかったわけではない。
アイドルの頂点に立つこと。かつての彼女らのように。
ただそれは、蓮実がこれまで向き合ってきたアイドル観と今蓮実が生きる現実との折り合いから考えて、どこか諦めていた部分もある。
もしかしたらそういう部分を、読まれてしまったのかもしれない。
「……私は、自分と同じように遠い昔の清純派アイドルを大好きな人たちへ、清純派アイドルはまだいるって言うことを伝えたい……
それが叶えば十分だと思っていました」
質問に答えるというより、また新たに悩みを漏らしていくように、蓮実はプロデューサーへ吐き出していった。
「だからこそ人一倍考えてるんです。 正直言って、私のような存在が今のアイドルの世界でのし上がるなんて……それはとってもとっても難しいこと。
こんな私がプロとしてアイドルをやれる……きっとそれだけで、今の世界では十分夢が叶ったことになるんだろうって」
プロデューサーもちひろも、待つように黙って聞いているのみで、
「だけど……プロデューサーさんは何度も、こんな私をもう一度、あのときの清純派と同じように、アイドルの頂点へ連れて行くといってくれて……
一方で、私の思った以上に私のやり方は他の人たちに受け入れられなくて」
「うん」
「だからどこまで本気か分からないんです。 プロデューサーさん、本当に私のようなアイドルが、トップを狙えるって思うんですか?」
「――思う」
困り果てながら問う蓮実に、プロデューサーははっきりと答えた。
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