29: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/04/23(火) 22:48:26.17 ID:8+PeY8Rzo
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「ありゃ何も理解してないな」
局の正面玄関を出て外の空気を大きく吸い込む。もうすぐ4月だが、今日はまだまだ肌寒い。
蓮実に話しかけたのかどうか分からない程度に、プロデューサーがボソリとつぶやいた。
そのまま数歩歩いてから、頬を控えめにポリポリと掻いている蓮実の顔をプロデューサーが覗き込む。
「気を悪くしたならすまない。 あれで悪い奴らじゃないんだけど」
「いえ、 アイドルになる前も――もっとも私はまだ卵ですが――オーディションなんかで、あんな感じでよく思われないことはしょっちゅうでした。
今更この程度で折れません」
「……そうかい」
今度は前を向いて、蓮実は続けた。
「それにアイドルはやはり、ステージでこそ輝くもの……こうやって業界の方にご挨拶に伺うのも芸能界らしくって新鮮ですが、
やっぱり私は今はライブのことを一生懸命考えたいんです」
「うん、それがいい」
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