27: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/03/28(木) 04:47:26.80 ID:nSzXe2Weo
いつものことだった。
自分の部屋にこもり、ひとり受験勉強をしていて、あるときまではうまく研ぎ澄まされていた集中が、ギリギリまでひねりを加えたゴムの弾性を解き放つように不意にみるみるほどけてゆき、勉強も、将来も、今という時間も、内心に巣食う数々の不安の種も、私という存在さえも、全部ここではないどこか底の底まで落っこちてしまうそんな頼りない一瞬があったとして、その瞬間、笑美莉がまず思い出すのは必ず智子のことなのだった。
28: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/03/28(木) 04:48:53.41 ID:nSzXe2Weo
たとえ脈絡がなくても、智子を思い出してしまう。
それは、いつものことだった。
29: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/03/28(木) 04:50:57.80 ID:nSzXe2Weo
笑美莉は隣の空席、智子のトレイから視線を外し、カフェテリアの床を見つめ始めた。
鬼気迫ったまなざしで。
30: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/03/28(木) 05:25:45.79 ID:nSzXe2Weo
卒業だね、と言われて、智子は何も答えなかった。
沈黙を守っていた。
31: ◆2DegdJBwqI[saga sage]
2019/03/28(木) 05:31:27.62 ID:nSzXe2Weo
今日はここまで
展開が地味
全体が、
32: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:17:21.86 ID:j0v9SOSRo
※
笑美莉は夢を見ていた。
夢の中で笑美莉は一国のお姫様だった。
33: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:18:15.63 ID:j0v9SOSRo
「鏡よ鏡、鏡さん。この世で一番美しいのはだあれ?」
姿見は答えた。
34: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:19:47.63 ID:j0v9SOSRo
「これはこの世で一番美しい者の容姿ではないわ」
と笑美莉。
35: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:21:11.88 ID:j0v9SOSRo
ラプンツェルとは、本来なら例えばこうあるべき存在だ。
むかしむかし、親元から魔女にかどわかされた赤ん坊がおりました。
36: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/01(月) 04:22:36.53 ID:j0v9SOSRo
『あなた様の美しさは、猛烈な熱風があらゆる起伏を吹き散らしていったあとの冷えた砂漠のように滑らかで平坦な生白い体躯《たいく》』
「それは、美しいと呼べるのかしら?」
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