27: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/03/28(木) 04:47:26.80 ID:nSzXe2Weo
いつものことだった。
自分の部屋にこもり、ひとり受験勉強をしていて、あるときまではうまく研ぎ澄まされていた集中が、ギリギリまでひねりを加えたゴムの弾性を解き放つように不意にみるみるほどけてゆき、勉強も、将来も、今という時間も、内心に巣食う数々の不安の種も、私という存在さえも、全部ここではないどこか底の底まで落っこちてしまうそんな頼りない一瞬があったとして、その瞬間、笑美莉がまず思い出すのは必ず智子のことなのだった。
なんでもないことをきっかけに、好きの気持ちは溢れてしまう。
好きを気付かされる。
もうすこしシャーペンの芯を出そうと、指でシャーペンをノックしたとき。
疲れて、机に肘をついて、天井を見上げながら、首を回したとき。
お風呂の湯舟に浸かろうとしたら思ってたよりもお湯の温度が熱かったとき。
ご飯を食べていて、おいしいな、と思ったとき。
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