29: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/03/28(木) 04:50:57.80 ID:nSzXe2Weo
笑美莉は隣の空席、智子のトレイから視線を外し、カフェテリアの床を見つめ始めた。
鬼気迫ったまなざしで。
どうにか気持ちを整えようとしていた。
やがて、智子がトイレから戻ってきて、自分の席に座った。
しばらく飲食と歓談にふける。
智子が、意味もなく笑いながら、
「私のと違うメニュー頼んでおけば、ちょっと交換したりできたのにさ」
と自分が選んだのとまったく同じコーヒーと、卵とハムのサンドウィッチがそれぞれ載った笑美莉のトレイを指さしたところで、不自然に会話が途切れ、二人のあいだに重たい沈黙が垂れこめて、いきなり、
「私たち、そろそろ卒業だね」
と笑美莉は言った。
ぽつりと、静かな声で。
それが、なんでもないことに聞こえるよう努めていた。
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