提督「……辞めたい」
1- 20
2:名無しNIPPER
2019/03/07(木) 14:18:27.98 ID:x1DvRfGWO
先ずはあらすじから



3:てーとく[saga]
2019/03/07(木) 14:19:32.43 ID:x1DvRfGWO
 着任から一年間が経ったある日、提督は鎮守府近くの病院の病室に居た。
誰かに階段から突き落とされた結果、骨折してしまったのだ。 犯人は以前として見つかっていないものの、艦娘の誰かというのは明らか。といっても一年間もの間、前任のせいもあり、艦娘達から酷い風評被害を受け、無視や陰口、暴力等が日常的に行われていたのでいつかこうなるとは提督も分かっては居た。これまで落ちぶれていた艦娘達の為に尽力してきた提督だったが、ついにこの事件がきっかけで愛想を尽かしてしまう。


4:てーとく[saga]
2019/03/07(木) 14:20:20.26 ID:x1DvRfGWO
以上があらすじです。それでは投下していきます。


5:てーとく[saga]
2019/03/07(木) 14:21:35.69 ID:x1DvRfGWO
 不意に、そんな弱音を病室のベッドの上で吐き出してしまった。
 これまで色々なことを、見舞いに来てくれた一人の艦娘である大和と話し込んでいたが、俺は一通り会話が終わると、自然と口からそんな弱音を溢していたのだ。
 
 何かにすがるような思いだった。会話が終わった後に訪れた静寂が、元々疲弊しきって極限まで心細くなった心をさらに寂しくさせたのだろうか。
 
以下略 AAS



6:てーとく[saga]
2019/03/07(木) 14:23:08.88 ID:x1DvRfGWO
提督「……いや。ごめん。今のは、ちょっとした冗談って奴だ。……まだ二十二才という若輩者が、しかも提督の立場に立っているというのに、こんな弱音を吐くわけにはいかない。……だから、今の言葉は無かったことにしてくれ」
 
 やはり病室に居ると心細くなるのだろう。普段はこんな弱音は吐かなかった筈なのに、こうして無意識に吐いてしまった。気も滅入っている。


7:てーとく[saga]
2019/03/07(木) 14:24:30.14 ID:x1DvRfGWO
 普段の大和は俺のことを凄く思いやってくれる艦娘だ。だから、そんな俺のちっぽけな命令もいつも通り聞き入れ、俺が弱音を吐いたことを流してくれるだろう──そう思ったが、
 
大和「……無理です」
 
提督「──」
以下略 AAS



8:てーとく
2019/03/07(木) 14:26:00.75 ID:x1DvRfGWO
大和「なのに、なのに……私や武蔵、陸奥さん、翔鶴さん以外の艦娘達は……提督に酷い扱いをしました」
 
 怒りを腹に抑え込んでいるかのように、静かに大和は語る。
 
大和「……誰も見向きもしませんでした。誰も提督の努力を認めませんでした……そして──」
以下略 AAS



9:てーとく
2019/03/07(木) 14:28:35.89 ID:x1DvRfGWO
大和「提督は無茶しすぎです! 今まで無視を始めとした酷い扱いされているにも関わらず提督は何も言わずに甘んじて受け続けています! しかも今回のような人間の力の数倍はある艦娘達から暴力を振るわれても執務を続け、挙げ句には懲りずに交友を持とうと近付いて……また暴力を受けて!」
 
提督「……すまん」
 
大和「しかも今回に至っては暴力の範疇を超えて階段から突き落とされたんですよ!? 頭を打って死んでも……こうして助かった今でも後遺症があってもおかしくなかったんですよッ……!」
以下略 AAS



10:てーとく[saga]
2019/03/07(木) 14:29:39.64 ID:x1DvRfGWO
提督「……分かった」
 
大和「……先程、提督が私に本音を呟いてくれる前、正直迷っていました。鎮守府にこのまま残り私達と共に護国の鬼として戦って欲しいと言うか。それか鎮守府から出て、違う余生を送って欲しいと言うのかを」
 
提督「……俺は、提督だ。だからこれからも戦k「ですがもうひとつの考えが浮かびました」……ぇ」
以下略 AAS



11:てーとく[saga]
2019/03/07(木) 14:30:51.78 ID:x1DvRfGWO
大和「初めて私に溢してくれた本音が……なんでこんなものなのでしょうか。なんでこんなにも、互いを心苦しくさせるものになってしまったのでしょうか?」
 
提督「……それは、」
 
 大和は言い淀んだ提督を見た後、涙を袖で拭い、普段のような確りとした雰囲気になった。
以下略 AAS



12:てーとく[saga]
2019/03/07(木) 14:32:05.23 ID:x1DvRfGWO
提督「……大和。自分が今何を言っているのか理解できてるのか?」
 
大和「はい。味方を……戦友を、死刑に処して下さい。……今回を含めて今までのようなあの娘達の行いは、上官に対する暴力や命令違反という、立派な軍規違犯であると同時に、法律上裁かれるべき犯罪行為にもなります。それに……もしも他の方が今の提督のような立場になったとしたら、精神的な疾患に必ずと言っていいほど陥り、即刻自殺もしてしまうことでしょう。今の提督はそれほど酷い扱いを受けてるんです……前任の後に着任したのがあなたでなければ、他の方が今のような状況になり、自殺の犠牲になっていたことも容易に想像が出来ます。……私でもあのように扱われれば気が狂いそうになると思います。正直提督がいつか自殺してしまうのではないかと気が気でありませんでした」


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