508:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 19:12:08.39 ID:CaLDwjtG0
紺之介「んっ……」
眩しく晴れやかな朝日に当てられて紺之介は目を覚ます。ゆっくりと上体を起こし軽く伸びる。
心身共に重りを感じぬ己の足に彼は最後の旅立ちの風を乗せた。
509:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 19:13:59.63 ID:CaLDwjtG0
「フッ……『露離 紺之介』か……」
510:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 19:14:30.16 ID:CaLDwjtG0
続く
511: ◆hs5MwVGbLE[saga]
2020/02/24(月) 00:36:50.14 ID:7Hi8D/RJ0
源氏「ハァ〜……どっこいしょっと」
季節は初冬。曇り空の冷めた空間は男の吐いた息を一瞬で白く染め上げた。
彼が腰掛けた木造は短く軋みその音に目を覚ました野良猫は彼らにそこを譲るかのようにその場を去っていった。
512:名無しNIPPER[saga]
2020/02/24(月) 00:38:05.88 ID:7Hi8D/RJ0
源氏「どうだ、ちゃんと奴らはこっち来てるか」
児子炉「ちかづいてきてる。たぶん、もう少し」
源氏「はァ〜楽しみだなオイ。待ちに待ったアイツとの本気の激闘が遂に幕を開けるってわけだ」
513:名無しNIPPER[saga]
2020/02/24(月) 00:38:55.64 ID:7Hi8D/RJ0
源氏「なんだいつにも増してノリが悪いじゃねェか。お前ももう少しで闘り合いたかった奴に会えるんだろ? もっとアゲてけよ」
無論児子炉が源氏の言うところの『ノリ』がよかったことなど一度たりともない。
だが彼女がいつにも増して陰気であることは確かであり差し当たって源氏もそれを理解しての発言であった。
514:名無しNIPPER[saga]
2020/02/24(月) 00:40:17.51 ID:7Hi8D/RJ0
児子炉「……愛栗子といっしょにいたアレ」
源氏「んァ?」
最低限聞き取れるかどうかの小声で呟かれたそれが一体何を指すのか、源氏はしばし首を傾け脳内で消去法によってそれを導き出していく。
515:名無しNIPPER[saga]
2020/02/24(月) 00:40:55.74 ID:7Hi8D/RJ0
源氏「で、ヤツがどうした」
児子炉「……ちょっと、将軍様のにおいした」
源氏「は? 一体どういうことだそりゃ」
516:名無しNIPPER[saga]
2020/02/24(月) 00:42:12.38 ID:7Hi8D/RJ0
相変わらず無言で不快感を表す児子炉だが今度は荒々しく服を引かれたせいかその表情は今にも源氏を吹き飛ばさんとするほどの圧を帯びていた。
だがそれに当てられても尚源氏怯むことなし。
彼女の服に引き裂きかねないほどの力を手に込めたままドスのきいた声色で児子炉に言って聞かせる。
517:名無しNIPPER[saga]
2020/02/24(月) 00:43:27.29 ID:7Hi8D/RJ0
再び軋む木造に腰掛けて一先ず感情の起伏を落ち着かせた源氏は思い出すように呟いた。
源氏「『いつの世も最後に人が求めるものは食に休に色』……か、くだらねェ」
518:名無しNIPPER[saga]
2020/02/24(月) 00:44:22.73 ID:7Hi8D/RJ0
源氏「オイ児子炉ィ」
重々しい呼びかけに児子炉改めて源氏の方へと向き直る。
彼は彼女に薄気味悪い笑みを見せるとその上がった口角のまま交渉を持ちかけた。
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