311:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:29:20.17 ID:QarN0Zl90
自分に拒否権がなかったことを悟ると紺之介は布団を蹴り上げて裸足のまま庭に出て童らの足元にあった枝棒を拾い上げた。
紺之介「……来い坊主供。全員でかかってこい」
「やったー!」
312:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:30:21.22 ID:QarN0Zl90
愛栗子「……なんじゃ随分と面白そうなことをしておるのぅ。わらわも混ぜろ」
紺之介「ん?」
庭木が喋りだしたのかと紺之介が上を拝むと同時に愛栗子の手ぬぐいが紺之介を腕ごと巻き取った。
313:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:31:00.59 ID:QarN0Zl90
「やっちゃえ!」
「えい!」
314:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:31:40.41 ID:QarN0Zl90
……………………
翌日の朝、再び蝉の音と共に彼らは助寺を発つ。
茢楠「ではフミのこと、よろしくお願いしますね。紺之介さん」
315:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:32:28.04 ID:QarN0Zl90
多段に連なる石をそのときの表情のまま踏みしめるように歩く彼の背に刃踏は語りかける。
刃踏「……もしかして、まだ気にしてますか? 」
紺之介「何をだ」
316:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:32:59.17 ID:QarN0Zl90
紺之介「いや、フミ……確か昨日お前『暫くここを離れる』と言っていたろ。それはつまりここに戻ってくるつもりということだろう?」
刃踏「へ……? 駄目なんですか?」
紺之介「駄目に決まっているだろう。お前は俺の収蔵品になるんだぞ」
317:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:33:26.42 ID:QarN0Zl90
困り果てその場に立ち止まる刃踏の手を引いて紺之介は続けた。
紺之介「だが、負かされたままの幼刀を支配しようとするほど俺も愚かじゃない。今はまだ握らされた刀だが、俺はいつか必ずお前もこの手に収めてみせる。故に俺は事が済んだときお前にもう一度挑む。そのときは必ずや俺が勝利してみせよう……またお前が勝った暁にはここに帰してやる。奴と共にな」
刃踏「は、はぃ……?」
318:名無しNIPPER
2019/07/10(水) 18:35:00.95 ID:QarN0Zl90
そこにいた誰もが紺之介の勝利を否定したが彼の未来へ向けられた眼差しだけはそのことを信じて疑わなかった。
何故なら彼の描いた先の理想ではもう再戦の未来は目と鼻の先だったからである。
一行は再び奴収集を夢見て茶居戸へと舞い戻る。
319:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:35:37.13 ID:QarN0Zl90
続く
320:名無しNIPPER[sage saga]
2019/07/10(水) 18:44:36.45 ID:Vj8eoTDkO
おつおつ
今日知ったけどとても面白かったです
魅力的なキャラクター、続きを読ませる文体
そしてそれら全てを台無しにしているひどいネーミングセンス(誉め言葉)
続きを楽しみにしています!
602Res/308.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20