138:名無しNIPPER[saga]
2019/03/25(月) 05:00:58.46 ID:sLYD87sq0
揺れる水面の包囲網、彼らは彼女たちの乗った和船の航路を予測し先回りしていたのである。
気がつけば嗚呼無情。数多の小舟で彼女たちを囲んだ彼らは一斉にその中心部へと弓矢を構えた。
139:名無しNIPPER[saga]
2019/03/25(月) 05:02:12.52 ID:sLYD87sq0
愛栗子「いつの時代も海賊というのは変わらんものじゃのぅ……そろそろお伽話のような巨船一つで攻めてくる輩が現れたのかと少しばかり期待しておったのじゃが……」
囲まれても尚余裕を崩さぬ愛栗子に月一は焦り混じりの表情で叫んだ。
月一「紺之介殿は何をしておるのだ!? 私たちがこんな状況になっても何故姿を現さぬのだ!」
140:名無しNIPPER[saga]
2019/03/25(月) 05:03:02.25 ID:sLYD87sq0
愛栗子「乱、あの藍色の鞘をさげた奴が見えるか? おそらくあやつじゃな」
乱怒攻流「そうみたいね」
殺伐とした空気の中、二人が目をつけた大男が銛を掲げて名乗りを上げた。
141:名無しNIPPER[saga]
2019/03/25(月) 05:04:06.00 ID:sLYD87sq0
船長「見せしめだァ! そこの漕ぎ手を射てェ!」
漕ぎ手「ひィ!」
そして遂に漕ぎ手殺しの矢、放たれん。
142:名無しNIPPER[saga]
2019/03/25(月) 05:04:49.47 ID:sLYD87sq0
月一「なんなのだ……これは……」
愛栗子「乱、一思いに微塵にして海へ落としてやれ。このような輩でも魚の腹の足しくらいにはなるじゃろて」
乱怒攻流(あんたも戦いなさいよぉ!)
143:名無しNIPPER[saga]
2019/03/25(月) 05:05:23.05 ID:sLYD87sq0
彼女の振るう太刀は決して各々が意思を保持しているというわけではない。
彼女の奏でる『イロハ』に対応した太刀がそれぞれに動いているのだ。
『イ』の太刀が北東を切り裂き
『ロ』の太刀が北西を薙ぐ
144:名無しNIPPER[saga]
2019/03/25(月) 05:05:53.81 ID:sLYD87sq0
月一「嘘、だろう……? 今背嚢から……紺之介殿が……」
船長「なっ!? 男の付き人だと!? 一体いつの間に……! ふんぬゥ……!!」
145:名無しNIPPER[saga]
2019/03/25(月) 05:06:20.32 ID:sLYD87sq0
敵手の引き際を逃さない紺之介、下がる銛先を追うように突きの体勢に入る。
紺之介「その首貰うける!」
146:名無しNIPPER[saga]
2019/03/25(月) 05:07:05.70 ID:sLYD87sq0
「ぁ、あ……ひえぇ……」
突如二人の間に割って入る少女の姿あり。
海で染めたかのような藍の髪色、服とも下着とも言えぬ群青のそれに上半身から臀部までも包む。
今にも泣き出さんとする表情で大男の盾となったその少女こそ幼刀透水-すくみず-である。
147:名無しNIPPER[saga]
2019/03/25(月) 05:07:39.80 ID:sLYD87sq0
紺之介それを瞬時に理解できぬ男ではなし。
しかしその刀を容赦なく貫く信条もなし。
重ねてその隙を見逃す情は大男にはなし。
この導路港の海を手中に収めた男、遂に都剣豪の心臓をも狙い定めたり。
148:名無しNIPPER[saga]
2019/03/25(月) 05:08:12.80 ID:sLYD87sq0
俊敏銛先彼の服を裂き
華蓮「紺之介さまぁ!」
透水(へ……)
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