103:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:29:31.24 ID:BBwPih0C0
…………
紺之介「待たれよ、そこの姫君」
104:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:30:24.30 ID:BBwPih0C0
紺之介「俺は紺之介と申す。剣豪をやっている護衛業の者だ」
乱怒攻流(剣豪をやっているって剣豪が職業みたいになってるじゃない……)
紺之介の胡散臭さ漂う自己紹介に付き人早くも警戒心を強めるもそれでも臆することなく紺之介は話を通し続ける。
105:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:31:05.80 ID:BBwPih0C0
付き人「……結構だ。姫様の護衛役は私一人で間に合っている」
紺之介の船上護衛計画、あっさりと轟沈す。
乱怒攻流(これは駄目そうね)
106:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:32:22.72 ID:BBwPih0C0
華蓮「つきひと、もしかしたらこの方はとても頼れる方かもしれませんよ? ほら見てください。……紺之介さま? そこのお綺麗な方も貴方が護衛なさっているお方なんですか?」
華蓮が立ち止まって愛栗子に興味をしめした。見た目からして彼女らは年齢も近く、そして何より愛栗子の美が少女の目を引き寄せたのだ。
紺之介この機を逃す手は無し。早速先ほどまで扇子を仰いでいただけの愛栗子に話を合わせるよう仕向ける。
107:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:33:33.93 ID:BBwPih0C0
華蓮「まぁ! やはりそうでしたのね! ご無礼ですが何処の方か聞いても……?」
少女に月一と呼ばれた護衛の目は明らかにまだ彼らを疑っていたが、そんなのはお構いなしに彼らは小声で会話を交わす。
108:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:34:27.89 ID:BBwPih0C0
愛栗子「むぅ……いざ聞かれると迷うてしまうのう。何しろわらわの名は完成されておる故、よくよく考えてみれば今さら偽名なぞ名乗る気にもなれぬのじゃ」
乱怒攻流「なんでもいいから早くしなさいよっ!」
109:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:35:34.09 ID:BBwPih0C0
愛栗子「わらわは愛栗子。鏡ノ国 -きょうのくに- の愛栗子じゃ」
華蓮「京の国! 西の都のお姫様でしたのね! どおりで……つきひと! やはりこの紺之介さまは確かな腕を保証された方のようです! 頼んでみてはどうでしょうか」
110:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:36:20.61 ID:BBwPih0C0
首の皮一枚で繋がった雇い依頼に紺之介一行の間では静かな歓喜の波が渦巻いていた。
紺之介の剣豪を自称するに足る確かな風格と愛栗子の放つ圧倒的な美がこの時ばかりは乱怒攻流の目にも輝いて見えた。
が
111:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:36:55.76 ID:BBwPih0C0
月一「……では、五両出そう。明日の早朝、港口まで来てくれ。宜しく頼む」
差し出された月一の手を握った紺之介の表情が何とも表現し難い顔つきであったため、一瞬不思議がった月一だったがとりあえずは商談を成立させ彼らはそれぞれの宿の方向へと別れたのであった。
112:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:38:09.25 ID:BBwPih0C0
…………
愛栗子「むぅ……ここの宿、隙間から潮風が入ってくるのぅ。折角銭湯にて温めた肌が湯冷めしてしまうではないか」
乱怒攻流「というかせっま! 信じられないんだけど!」
113:名無しNIPPER[saga]
2019/03/13(水) 18:39:20.08 ID:BBwPih0C0
紺之介「寝る前に一つ教えて貰いたいことがあるのだが、透水というのはそこまで野蛮な娘だったのか?」
愛栗子「わらわはそうは思わんかったがの。奴は風呂でも泳ぐような水好きでの。放っておけばずっと湯に浸かっておるような奴じゃった」
愛栗子「奴の希望で皆で浜に出かけることもあったの。海なぞ砂つぶが足に纏わりつくだけでも不快じゃというのに、何がそんなによかったのかのぅ」
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