15: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:06:43.01 ID:piIM8FBL0
午前中は特設コーナーにあった科学雑誌と持ってきた小説を流し読みをして過ごした。
そして、昼食の菓子パンを食べたあと、図書館の前で携帯の所在を案じていないか案じている。
警察に拾得物として届けた方が良いかもしれないが、正直面倒だ。
16: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:10:41.91 ID:piIM8FBL0
雑誌と小説には飽きたので、捻挫の疼痛を和らげる方法がないか調べるため
分かり易そうな対症療法の本を何冊か探しに行った。
17: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:12:01.31 ID:piIM8FBL0
「あっ、こけた人」
考える前に言葉が出てしまい、女性が少し怪訝な顔をして顔を上げる。
少しこっちをみてからはっとした顔になる。
18: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:13:12.60 ID:piIM8FBL0
「あの、これ、あの時落ちていた携帯なんですけど」
「それ私のです!携帯も拾ってもらってたんですね。助かりました。
少し不便していたんです。…すみません、なんか私ばっかり色々拾ってもらっちゃって…。」
「…あの、今年はもう受験勉強を始めなきゃダメな年でしたし、あんまり期待されてなかったので、別に良いんです。
19: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:14:55.88 ID:piIM8FBL0
彼女の名前は佐藤あゆみ。27歳。この大学のOGで、現在は隣町で医療関係の会社で働いているらしい。
20: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:15:39.17 ID:piIM8FBL0
「こんにちは、佐藤です。来週はとりあえず最近のテストと成績表持ってきて下さい。」
家に帰った後にメッセージが来た。本気で勉強をするつもりらしい。
「こんにちは。あの、本当に大丈夫ですか?お仕事もあると思いますし、無理にとは言わないので。捻挫も大したことないですから。」
21: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:16:53.95 ID:piIM8FBL0
「こんにちは。今日からよろしくね。」
大学図書館1階、階段の前の踊り場でコートを腕にかけて、彼女は待っていた。
「よろしくお願いします。」
22: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:17:24.66 ID:piIM8FBL0
部活を辞めてから、テニス部の主力メンバーとは顔を合わせ辛い。
特に強く引き留めていた同じクラスの鹿島武志とは、それまではよく遊んでいた仲だったが、
なんと声をかけていいのかわかりあぐねているようで、教室で会っても、
「勉強頑張れよ。」とか、「勉強の息抜きで練習来いよ。」とか
23: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:18:14.02 ID:piIM8FBL0
「今日は勉強を教えるというよりは、現状確認と目標設定したら終わり。あとは適当に。」
不愛想な態度も、特に気にしていない様子で開架室に向かいながら彼女は言う。
24: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:20:33.68 ID:piIM8FBL0
思ったよりフランクに話しかけてくる。初対面の時の印象よりもかなりカラッとした性格らしい。
開架室の隅の方のテーブルの一角に座って、持ってきた成績表を渡す。
成績は全体的に平均より少し上で、良くもないが悪くもない。
25: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:22:26.34 ID:piIM8FBL0
「目標の大学ってある?」
「いえ、まだ特に…」
「興味ある分野とか、都市の方に出てみたいとかは?」
「そういうのも別に…」
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