17: ◆PeRWG5nqdc[sage saga]
2019/01/11(金) 11:12:01.31 ID:piIM8FBL0
「あっ、こけた人」
考える前に言葉が出てしまい、女性が少し怪訝な顔をして顔を上げる。
少しこっちをみてからはっとした顔になる。
自分が巻き込んだ手負いの高校生だと気付いたようだ。
すぐに小走りでこちらにやってきた。顔は少し上気している。
「あの時はすみません、大丈夫ですか?」
「あの、大丈夫ですから、そんなに気にしないで下さい。」
「とにかく、ご迷惑おかけしました。もし、何かあれば言ってください。」
「本当に特に問題ないので…。」
「でも、その、何かスポーツをされてますよね。大事な時期に酷くなったりしてるんじゃ…」
手に持った捻挫の本を見ながら心配した声で話してくる。非常に間が悪い。
「いや、これは単にどうしたらいいか見ようとしただけで…興味本位というか…」
「わざわざ大学の図書館に来るくらいなのに…。」
「本当に元々怪我してて、あれがなくても変わってなかったですって。」
「でも…」
嫌な間が流れた。離れるに離れられない上に、何を言えば良いのか分からない。
見た感じ何か出来ないか考えているようだ。ありがた迷惑とは思いながらも、
無下にも出来ず、足元に落とした目線が左右にふらふらと所在なく振れる。
ふとポケットの携帯を思い出して、苦し紛れに取り出した。
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