年越し代行
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3:名無しNIPPER[saga]
2018/12/28(金) 20:15:48.00 ID:JbQZeQhn0
 僕達は、平たく言えば国家公務員だ。
 業務がかなり特殊なだけの。


 僕達の仕事は、つまみを回すこと。
 人間の脳みそにある時計を、次の年に設定すること。
 ただそれだけ。

 国から支給される、エナメル製のような特殊な手袋をはめる。
 バッジを起動させ、高度なステルス機能を持つバリアーを纏って気配を消し、サンタクロース宜しく、年の瀬の深夜に住宅に侵入する。
 そして、寝ている隙にその人の頭の中に手を突っ込み、つまみを回すのだ。

 これが達成されなければ、その人の一年間は虚無に終わる。
 要人だろうとニートだろうと、放置していては社会機能が立ちゆかなくなるから、当然に『全員年越し』が原則だ。


 次は何年だっただろう――よく覚えていない。
 僕達が考えるのは、人の脳みその目盛りを次の年に一つ進めることだけである。



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