46:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:04:51.30 ID:UJ40b2tyo
「昔のアイドルソングばかり歌ったら『センスが古い』って言われてしまって。まるで。ローカル局のモノマネ大会みたいって……
『別のは歌えないの?』ってリクエストされたんですけど、私どうしてもあの歌で審査して欲しくて……」
「どうして?」
「私にとって、昔のアイドルソングは大切なものなんです。アイドルのことを大好きな母が、ずっと子守歌代わりに歌ってくれたんです」
47:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:06:33.58 ID:UJ40b2tyo
「確かに、君の目指してる清純派アイドルってのは、今となっちゃ古くさいもんだ。俺でも分かる」
「…………」
「オーディションでも審査員にぼろくそ言われて、笑われる。今時そんな方向性バカらしいって」
「…………」
48:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:07:38.32 ID:UJ40b2tyo
「確かに、この時代にもなって30年も前の古くさいアイドルに憧れて、そんなアイドルに自分もなりたいだなんて真剣に考えてるのは、私くらいしかいないと思います。
だからこそ、なんです。 ……私しかいないからです」
「……君しか?」
「私がこの夢を諦めたら、同じように清純派アイドルになろうとする人なんていない。 いなくなっちゃうんです。 私や……母が大好きなアイドルたちは」
49:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:09:06.16 ID:UJ40b2tyo
「甘くなかったんです。母には申し訳ないけれど、今日が上手くいかなかったら、島根に帰ろうと思ってました」
「そうなのか?」
「私の憧れてた清純派アイドルはもういない。残念ですが、これが現実です」
50:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:10:06.73 ID:UJ40b2tyo
とたんに心臓が跳ね出して、頭がぼーっとする中、
男の人は先ほどよりもしっかりした口調で、私を引き留めます。
「君は古き良きアイドルの精神でこの時代に懐かし路線でデビューしたい。 今時そんなの、ギャグでも流行んないよって言われ続けてるが……それがもし」
51:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:10:54.22 ID:UJ40b2tyo
「今……自分が最後の一人だって言ったよな? 古き良き清純派アイドルの最後の一人だって」
「……はい」
「俺の仕事は、そういうたった一人の逸材を見つけ出して、世に送り出す手助けをすることだ」
「つ、つまり……あなたは……?」
52:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:11:41.78 ID:UJ40b2tyo
――――――
1週間後、
346プロダクションの正面玄関前に、私は立っています。
53:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:12:14.00 ID:UJ40b2tyo
負けるわけにはいかない。
私の信じる道で、夢を追いかけ続けたい。
この清純派と呼ばれる道を歩むものが、たとえ私で最後だったとしても。
54:名無しNIPPER[saga]
2018/12/15(土) 00:15:04.68 ID:UJ40b2tyo
帰ってきた清純派、長富蓮実ちゃんをよろしくお願いいたします。
https://i.imgur.com/cavjq3X.jpg
55:名無しNIPPER[sage]
2018/12/15(土) 02:37:27.90 ID:8KvMoeey0
乙。やっぱはすみん良いな
56:名無しNIPPER[sage]
2018/12/15(土) 04:15:14.56 ID:PGquICP7o
乙でした。芯の強さこそが清純派アイドルの条件なのかもね
ゾンビランドサガの純子ちゃんと会わせてみたいな
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