82:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:22:48.31 ID:uC+MDGI60
「うん、そんなとこね。何らかってのはチャンピオンに妹、咲に会って話してもらうこと」
先ほどまでの、目を合わせたら心まで読まれそうな推断ぶりは風解し、ゆみが不思議そうな顔を浮かべる。
「会って話す? それだけなら直接行けばいいんじゃないか」
83:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:23:54.23 ID:uC+MDGI60
「・・・って感じのことが日中にあってね。毎度どーうも間が悪くて、あげく最後は『会っても話さないから』なんて言われちゃってこうなったってわけ」
「なるほど、奇なこともあるものだな」
「でも終わったことだしね。今は関係なかったでしょ?」
84:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:25:30.38 ID:uC+MDGI60
「モモ、いるんだろう?」
少し声量を上げてゆみが問い掛けてくる。なぜ急に桃が必要かどうかを訊かれたんだろう。
「……出てこないなら明日から宿題見てやらないぞ」
85:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:26:41.54 ID:uC+MDGI60
「散歩してたらこの猫ちゃんを見つけて……何となくついていってみたら先輩を見かけたっす」
「いつからいたんだ」
「先輩が『練習試合の話が妙じゃないか』的なこと言ったあたりっす。その、ちょっと話しかけづらい空気で……ズルズルと…」
86:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:27:38.98 ID:uC+MDGI60
ステルスモモなんて言うわりには竹を割ったような性格で、思ってることも意外と表に出やすい子だと思う。そして今の返答から曲がったものは感じなかった。けれどまあ、つい先ほど前科がついているので一応確認を取る。
「ゆみ、今日って東横さんと一緒にいた?」
「ああ。というか、今日は鶴賀は会場に行っていないよ」
87:名無しNIPPER[sage]
2018/08/03(金) 17:02:27.14 ID:1/rLhX8l0
面白い
おつ
88:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 18:16:24.69 ID:uC+MDGI60
-白糸台高校・麻雀部部室-
「私ね、竹井さんを鏡で観たんだ」
先ほど使用した雀卓の片付けをしていると、照がポツリと呟く。そろそろ日も欠けはじめたからと四人には帰路についてもらい、今は部室にいるのは照と私の二人だけだ。
89:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 18:17:37.68 ID:uC+MDGI60
照と初めて会った頃、照の私への呼称は『親切な人』だった。もっとも、この呼び方は鏡を使われる前からのものだ。おそらく私のことを氏名で呼びたくなかった照がつけたあだ名のようなものだろうし、自分の本質を言い表すとはあまり思えないが。
「性格の良い、いい性格してる人かな。ひねくれ者だと思う」
「なんだそりゃ、捻ったつもりか」
90:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 18:19:10.09 ID:uC+MDGI60
「でも、そういう風に強引に手詰まりにさせると逆に面倒になりかねない」
「どういうことだ?」
「人間、切羽詰まると本来とらない行動をとることがあるからね。そうなると鏡で観たものからだけでは到底読めない」
91:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 18:20:10.24 ID:uC+MDGI60
そんなこんなの会話をしながら部の備品一式を片付け終え、帰り支度を始める。帰路の連れに目を向けると同様に荷物を纏めるも、どう持って歩くか試行錯誤している様子だった。
「鞄持とうか?」
「じゃあ、お願い」
92:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 18:28:37.93 ID:uC+MDGI60
清澄の先鋒こと片岡優希は、準決勝から打点の高さを捨てて早さに拘る打ち方を実践してきた。照の連続和了を止めるためだったであろうその打ち方は、局が進むにつれて本人とその能力に馴染み、決勝ではこちらの想定を超える暴れっぷりを見せつけてくれた。
「東場の、特にトンパツの片岡の速度は驚異だ。ここは淡の絶対安全圏で東一局を凌いでだな……」
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