91:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 18:20:10.24 ID:uC+MDGI60
そんなこんなの会話をしながら部の備品一式を片付け終え、帰り支度を始める。帰路の連れに目を向けると同様に荷物を纏めるも、どう持って歩くか試行錯誤している様子だった。
「鞄持とうか?」
「じゃあ、お願い」
二人分の鞄を左手に持ち、反対の手で扉を開けて留める。
照には鞄の他にも持ち帰る物がある。高さ40pほどで到底鞄には入らず、かといって片手で持ち帰るのも憚られる金ぴかの代物だ。照が部室から出たのを見計らい扉から手を離し、部室を後にする。
「ちょっとトイレ寄っていい?」
「ああ。一階のでも?」
「うん、大丈夫」
出口へ向かう階段とは逆方向に行けばトイレは近いけれど、下駄箱前にもあるので後にしてもらう。
「この勝負をやる意義はわかった。でも、それなら皆を先に帰したのは本当によかったのか?」
今現在宮永照が負ける心配のある高校生など片手で数えられる。そういう私の主観を、照に抱えられているトロフィーは後押ししてくれる。しかし、ネックなことに今やその一人が清澄にいるのだ。
「なにかマズかった?」
「結局、亦野にも尭深にも淡にも明日のこと話さなかったろ? 明日の対局、竹井の相方はおそらく片岡が出てくる。こちらが私でいささか不安が残ると思うんだよ」
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