50: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/07/07(土) 17:07:08.71 ID:LgMjPCNT0
「紗代子!」
その時だ。私は名前を呼ばれて動きを止めた。
掲げていた両手がダラリと垂れ下がる。
その勢いに膝が耐え切れずに、
慌てて地面に刺したシャベルを杖の代わりにして体を支える。
振り向けば、すぐ近くにプロデューサーが立っていた。
その隣にはエレナちゃんの姿だってある。
「なに一人で無茶なことをやってるんだ!」
プロデューサーはそう言って私のことを怒った。
まるで悪戯の現場を押さえたお母さんのような怒り方だった。
彼は砂浜に足跡を残しながらこちらにやって来ると、
へとへとになってる私をゆっくり地面へ座らせて、手にしていたハンドタオルを頭にかけてくれた。
「全く帽子も被らないで……。エレナ、飲み物を渡してやってくれ」
「うん!」
「プロデューサー、なんでここに?」
「何でもかんでもないだろう? エレナが教えてくれたんだよ。紗代子がビーチで穴を掘ってるってな」
エレナちゃんから缶入りのスポーツドリンクを渡されながら、
私はプロデューサーと目を合わせた。
心配そうにしてる表情。
慌てて駆け付けたんだろう、彼だって額に汗してる。
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