1: ◆jZl6E5/9IU[saga]
2018/06/28(木) 00:04:34.23 ID:84l1pjji0
アヤメ(リクたちを裏切って…私なりの罪滅ぼしを始めて、それなりに時間が経った。フォースの皆とはあれから一度も会っていない)
アヤメ(私は彼らを騙していた。気にするな、とリーダーのリクは言うけれど、簡単にはいかない。だから、フォースメンバーに限って、ログイン情報を見えないようにして、なるべく避けていた)
アヤメ(そう思っていたら、今度は私の大切な絆の証が返ってきた。あれを取り返してくれたのも、リクたちのようで――仲間たちの好意が、とてもとても嬉しかったし、会いたいと思った。でも、しばらく会っていないでいると、どんな風な顔をして会えばいいのか、分からなくなってしまった)
アヤメ(どうしようと悩み、迷っているうちに、またGBNに入ってしまった。リクたちに偶然出会う可能性だって、いくらでもあるのに)
アヤメ(なんて、実際には、ログイン時間はいつも深夜に絞っているから、リアルでは子供のリクたちに出くわすことはないだろうけれど)
アヤメ(……でも、本当は気付いていた。一人だけ、時間なんて関係ない人がいることに)
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2: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:06:05.05 ID:84l1pjji0
深夜 GBN ロビー
アヤメ(私たちの、返ってきた絆の証を見てから、コージーたちとは結局別れた。でも、今度はすっきりと、はっきりと別れることができた。…前とは違う。私には、待ってくれる仲間がいる)
アヤメ(リク、ユッキー、モモ、サラ、コウイチ…皆、私の大切な、新しい仲間だ)
3: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:08:08.81 ID:84l1pjji0
深夜 コウイチの家
4: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:11:27.09 ID:84l1pjji0
GBN 草原フィールド
5: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:15:34.58 ID:84l1pjji0
コウイチ(……気晴らしになればと思って、ログインしてみたけど……ランク上げも、アヤメくんのために皆でやってる家具探しも、ガンプラバトルの練習も、何もする気になれないな…)
6: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:17:24.87 ID:84l1pjji0
コウイチ「……はぁ」
コウイチ(それが分かったからなんだっていうんだ。僕に何ができる? ツカサに、偉そうに、ガンプラが好きだったときの気持ちを思い出せなんて言って。結局、僕の言葉にあいつは立ち止まってくれなかった)
コウイチ(きっと、ブレイクデカールが止まっても、ツカサは何か新しい手段に訴えるに違いない。そのとき、僕はどうする? 何ができるんだ?)
7: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:19:13.76 ID:84l1pjji0
アヤメ「……」
コウイチ(! …あの忍者風のアバター…見間違えようがない、よな?)ジッ
アヤメ「……? っ!」ハッ
8: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:23:43.21 ID:84l1pjji0
アヤメ「…リクたちは、どうかしら?」
コウイチ「……ええと、元気にしてるよ。皆、アヤメくんを待ってる」
アヤメ「……そう」
9: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:26:10.22 ID:84l1pjji0
アヤメ「――それで、話したいことって?」
10: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:31:13.38 ID:84l1pjji0
アヤメ「……謝ることなんて、ないわ。選んだのは私だし、あなたは知らなかったんだもの」
コウイチ「いや、僕が謝りたいだけなんだ。迷惑かもしれないけど」
アヤメ「そう…さっき言ってた考え事って、そのこと?」
11: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:35:46.22 ID:84l1pjji0
コウイチ「……こだわってない、って言うと、ちょっとだけ嘘かもね」
アヤメ「そうなの?」
コウイチ「僕の使ってるガンプラ、知ってるよね?」
12: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:39:31.33 ID:84l1pjji0
コウイチ「ツカサと話してから、少しだけ思ったんだ。もしかしたら、僕も間違えたら、ツカサみたいにブレイクデカールを広めていたかもしれない。そうしたら、僕も色んな人たちを苦しませたのかもしれないって」
アヤメ「でも、あなたはそんなことしてないわ」
コウイチ「うん。だから、仮定の話だよ。ツカサの気持ち、僕には分からないわけじゃないんだ。…皆いなくなって、置いていかれたから」
13: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:43:13.69 ID:84l1pjji0
コウイチ「そう、だね。皆、ガンプラバトルが、大好きなんだ。GBNもGPDも、関係なく。……だけど、ツカサは、過去にこだわって、今も戦おうとしてる」
アヤメ「……彼は、私と同じなのかもしれないわ。私も、昔のことにこだわって、ずっと戦ってきた」
コウイチ「そこが、僕とツカサの違うところなんだ。…僕は一度逃げ出した。諦めた。忘れてしまえ、って」
14: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:44:58.03 ID:84l1pjji0
アヤメ「……諦めたのは、昔のあなたでしょう」
コウイチ「え?」
アヤメ「今のあなたは、ここに――GBNにいる。大好きなガンプラバトルをしたいから。GPDのことを受け入れて、新しく出発してる。そうでしょう?」
15: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:51:31.16 ID:84l1pjji0
アヤメ「あなたは?」
コウイチ「……楽しいよ。ここには、たくさんの人たちがいて、皆、ガンプラバトルが大好きなんだ。かつての、僕やツカサみたいに」
アヤメ「そう…。それなら、その気持ちを教えてあげればいいんじゃないかしら」
16: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 00:59:28.83 ID:84l1pjji0
コウイチ「……ツカサは、ガンプラが大好きだった。たくさんの思い出を、GPDで僕や仲間と一緒に作ってきた。だからこそ、前に進めない。過去に立ち止まってる」
コウイチ「きっと、怖いんだ。過去のことがなんでもなかったことみたいになって。イヤなんだ。大好きだと思ったことが、消えてしまうことが。僕も、そうだったから」
アヤメ「コウイチ……」
17: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 01:12:05.54 ID:84l1pjji0
アヤメ「……それでも、止まってくれなかったら?」
コウイチ「……あいつが止まってくれなかったら、このガルバルディと――思い出のガンプラと一緒にあいつを、うん、僕はツカサを助けたい。友達だから」
コウイチ「きっと、そうするべきなんだ。あいつの気持ちが一番分かってやれるのは、僕なんだから。…何で、こんな簡単なことに、僕は気付けなかったんだろう。ありがとう、アヤメくん」
18: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 01:15:22.26 ID:84l1pjji0
コウイチ「うん、ありがとう、アヤメくん」
アヤメ「お礼なんていいわ。あなたたち、ビルドダイバーズの仲間たちには、たくさん助けられたから。今度は私が助けたいの」
コウイチ「そっか。それなら、頼りにさせてもらうよ。仲間として」
19: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 01:16:19.14 ID:84l1pjji0
アヤメ「……そうしようとは思ってるの。ただ…」
コウイチ「ただ?」
アヤメ「どんな顔して、なんて言って会いに行けばいいのか、分からなくて。皆には助けてもらったし、迷惑もかけたし…」
20: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 01:18:03.47 ID:84l1pjji0
アヤメ「……そうね。私、仲間ってものがどういうものか、忘れていたみたい」
コウイチ「大丈夫だよ。これから、また思い出せるんだから」
アヤメ「ええ。そうよね、その通りだわ。……私、明日、フォースに戻る」
21: ◆jZl6E5/9IU[sage saga]
2018/06/28(木) 01:42:13.51 ID:84l1pjji0
コウイチの家
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