34: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:17:19.39 ID:aw+Q2owr0
「どうして」
答える代わりに、彼女は掠れきった声で問い返しました。
35: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:18:06.20 ID:aw+Q2owr0
でろんと伸びた首は、据わらぬままに垂れ下がっております。
それがなんだか歪んだ「?」マークそのものに見えました。
アイスを一つ、そっと勧めます。
36: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:18:56.97 ID:aw+Q2owr0
「お婆さん達から聞いておりますです。何か、夢を持っておられたとかー……」
そしてそれが、何かの形で破れてしまわれた、とか。
如何なる夢だったのかまではわかっておりません。
37: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:20:27.39 ID:aw+Q2owr0
〇
これはきらびやかなる大都会、東京の片隅にあった挿話でございます。
38: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:21:22.29 ID:aw+Q2owr0
身一つ夢一つ、天涯孤独で見知らぬ都へ。
新天地と、自らが輝ける場所を求めて。
その決意と努力は並々ならぬものだったでございましょう。
39: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:22:14.72 ID:aw+Q2owr0
〇
「そりゃあもう酷い男だったのよ。『君とならスターを目指せる』だなんて、けっ!
40: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:23:37.69 ID:aw+Q2owr0
「時々、思うの。あの子達はどこへ行ったんだろうって」
視線は遠く、ここではない何処かへ向けられます。
41: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:24:33.64 ID:aw+Q2owr0
いつしか彼女は、生前の姿に戻っておりました。
実体なき幽霊でありますれば、気持ち次第で見た目も変わるのでしょう。
「そんなことないわ」
42: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:27:31.58 ID:aw+Q2owr0
「ふふ」
と、お姉さんは微笑しました。
43: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:28:18.46 ID:aw+Q2owr0
「ねえ、あなたもこっちへ来ない?」
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