41: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2018/05/12(土) 02:24:33.64 ID:aw+Q2owr0
いつしか彼女は、生前の姿に戻っておりました。
実体なき幽霊でありますれば、気持ち次第で見た目も変わるのでしょう。
「そんなことないわ」
「あるでございます。わたくしもお母様に『ライラの瞳は宝石のよう』と褒められましたですが、
同じくらいでございます。優しくて、穏やかな光ですねー」
日は暮れてゆきます。電気代の節約のため、少しでも明るいうちは明かりを点けません。
夕陽が濃くなって、座敷の色を異界のように変えてゆきます。
「わたくしもあなたと同じでございます。家出をしてしまったのですねー。
そうしなければきっとわたくしは、お父様とお母様に守られるだけの人生でございました」
そして、何か無いかと。
己が己でいられる、何か自分だけの特別な場所が、どこかに。
それはまだ、見つかっていないのでございますが。
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