遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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241: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/25(土) 17:32:45.57 ID:qW+Kebhi0

 検討の余地などない。魔王が人々に害をなさないというのであれば、俺が勇者として奴を打ち倒す必要もない。それに、耐性の力を失うことなく、千鳥足テレポートが使えないままでも彼女に会えるというのなら、それこそ魔王を打ち倒す理由が無くなる。


「俺は、二度と魔王に危害を加えない」


 宣言をした瞬間、俺は何かから解放されたような、繋がれていた鎖から解き放たれたような錯覚に陥った。長年、魔王を取り逃がしたことを悔いてきたのだ、そのうえそんな魔王を放って彼女を探し続けていたことへの後ろめたさ、俺を苦しめてきた勇者としての責任感から解放されたのだからさもあろう。もう何も余計なことを考えなくていい、ただ彼女に会いたいという意思だけで俺は前に進めるのだ。

 あまりに、同時にいろいろな事が起きすぎたためか、俺は少し眩暈を覚えていた。俺は、気付けとばかりにジョッキの中のビールを飲み干した。


「ふむ、勇者様。大変申し訳ありませんが、同盟はこれまでということでいかがでしょうか?」


「どうした? マスターも彼女を探していたのではないのか。会いに行かなくていいのか?」


「まあそうですが、あの娘が自分の意思で戻ったというのなら仕方ありません。勇者様から、あの娘にたまには店に顔を出すように伝えておいてください」


「わかった」


 マスターは立ち上がり、俺に歩み寄る。


「勇者様、最後に一つだけ確認をさせてください。貴方は、勇者の使命を捨てる。そういうことでいいですね?」


 俺は、改めて自分がやろうとしていること、やりたいことを考え、そこに一片たりとも迷いはないと頷いてみせた。


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