240: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/25(土) 17:32:17.19 ID:qW+Kebhi0
「……元気にしています」
「まさか監禁しているわけではありませんよね?」
「彼女は、自分の意思で帰ってきました。今は、魔物たちの為に自ら率先して働いています……」
「おいおいおい、その言いぶりだとまさか」
「なんだ、一緒に旅をしていて気づかなかったのか? 彼女は魔族だ」
頭にドンガラガッシャーンと雷が落ちたがごとし衝撃が走る。変身魔法が解けた魔物たちの姿が思い起こされる。彼女が魔族だとすれば、彼女の正体はいったい……ミノタウロスやオーク、ゴブリン、ま、まさかスライム!? 粘着質で半透明な液体が人の姿に変わり彼女の姿をかたどっていく想像がよぎる。
俺は、頭上に浮かんでいた想像の雲を頭を横にぶんぶん振り回すことで打ち消した。問題は、彼女の正体ではない。彼女がどのような姿であったとしても、俺は彼女に会いたい。ただそれだけが、俺の望みなのだ。
「……彼女に会わせてくれ」
「ただし、条件がある」
「聞こう」
どんな条件だろうが、俺は飲むだろうさ。
「魔王様に、二度と手を出さないと誓え」
「誓う」
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