遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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218: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/16(木) 21:49:58.99 ID:ao9AIwU40


「あの娘は……遊び人は、どうしていますか?」


 まったく予想外の質問に、俺は声を詰まらせてしまう。マスターは、そんな俺の様子をじっくりと伺っている。俺が何か、隠し事や偽りごとをしないか、僅かな動きから読み取ろうとしているのだろう。


 だが、そんな質問がなされるということは。


「マスターの店にも来ていないのか……?」


「にも?」


「ちょうど店で飲んだ日の翌朝だ。その時には、もう姿を消していた……それ以来、ずっと探しているのだが……」


「……私の店にも、あの日以来顔を出していません」


 マスターは、あからさまに大きな溜息を吐き出した。先ほどまで放たれていた、どす黒いオーラもそれと同時に一気に霧散してしまっていた。その口ぶりや様子から察するに、彼もまた遊び人のことを探しており、どうやら俺のことを疑っていたのだろう。疑いが晴れたのは喜ばしい、だがマスターの必死な様相には、彼女とマスターの間には、店の主人が常連客の安否を慮るものとは違う別種の関係があるように俺は感じた。


 しかし、事は予想以上に深刻なようだ。俺は、彼女は何らかの事情で自分の意思で姿を消したのだと踏んでいた。もし、その事情が俺にかかわりのないものだったら、俺は彼女の力になりたいし。逆に、その事情が俺への不満や不平だったとしたら。その時は、スンナリと退きさが……すんなりと……。いや、これは嘘だな。俺の本当の気持ちではない。もし、俺への不平不満だったとしたら……泣いて、詫びて、鼻水も流して、涎も垂らしながら、縋りついて捨てないで下さいと懇願しよう。……そういう腹積もりで、俺は彼女を追っていた。


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