185: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/03(金) 16:34:37.78 ID:KfriHW7I0
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光が収まり、バーは再び間接照明の落ち着いた色に染まる。
静けさを取り戻した店内には、老いた店の主人の姿しかなかった。
「二人とも消えたということは、あの娘も彼を受け入れたとみて良さそうかな」
マスターは、店内に誰もいないことを確認すると、鼻をズズッとすすり、懐から出したハンカチで目元を拭った。
「まったく、世話の焼けるお客様だ」
そう独り言ちて、ふとカウンターに目を向ける。
そこには、異世界で仕入れてきたウイスキーが二本。
琥珀色の液体で満ちていたはずのそれらは、既に空き瓶とかしていた。
「……ツケにしといてあげよう」
マスターの声は、少しだけ怒りと悲しみに震えていた。
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