白菊ほたる『災いの子』
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64: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/23(水) 17:44:46.26 ID:XzeV2oVA0
 ああ、とようやく納得がいく。
 私のプロデューサーさんがいつも傷だらけなのは、今やけっこう有名な話だ。私の不幸を知っているのなら、当然それも知っているはずだ。
 プロデューサーさんの負傷の原因が私の不幸なら、私も同じようにケガをしているんじゃないか、ということだろう。
 でも、それならそうと、先に言ってくれればいいのに。

「ケガは……昔はよくしていたんですが、今は慣れたので」

「ふーん、慣れたらなんとかなるものなの?」

「気を付けていればだいたいは……それでもたまにケガをすることはあるんですけど、昔からなるべく軽傷で済むように肌の露出をひかえてますので」

 たかが布の1枚でも、あるのとないのでは負傷の度合いがぜんぜん違う。
 私は夏場でも外に出るときはほとんど長袖のTシャツかブラウスを着て、スカートのときはなるべくタイツを穿くようにしていた。

「にゃるほどにゃるほど。昔って、どのくらい昔?」

 どのくらい?

 考えてみると、いつから始めたことなのかわからなかった。私にとってそれは当たり前すぎて、なぜかと疑問に思うことすらなかった。だから、

「……物心ついていないような、小さいころからです」

 母が、そうさせていたんだと気付いた。
 私がまだ幼く、自分の不幸体質を知らなかったころから。

「いいママだね」と志希さんが言った。

「ね」と夕美さんが言った。


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