52:名無しNIPPER[saga]
2018/03/03(土) 23:57:59.17 ID:TiYpGBsM0
男仁は笑う.
「それではまず,上半身を裸になっていただけますか.確認したいことがありますので」
「? 今なんとおっしゃいましたか」
53:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 00:02:11.46 ID:uF4EMWqq0
「IOTチップもなく,摘出痕もなし.羨ましい限りです」
男仁さんは僕の肩をぱんっと叩いた.
なんということはない,身体検査だった.
54:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 00:06:04.61 ID:uF4EMWqq0
男仁さんは苦笑しながら,手をひらひらさせた.
「不快だというだけですよ.良くないことですが,市民が想像している以上に,政府はIOTチップから個人情報を抜き取っていますから」
55:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 00:10:24.20 ID:uF4EMWqq0
「さて,百地さんにはこのバイトをする資格があることを確認いたしました.
一日の給料は5万円で,月末にバイトを行った日数分だけ,手渡しいたします.それをご承知いただければ,さっそく仕事の説明に移ろうと思います.
なにか,質問はありますか」
56:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 00:13:26.11 ID:uF4EMWqq0
「あの給料を頂く日を,早めていただくことはできますか?実は月内にお金が入用でして」
「どんな用です?」
目線がさっと鋭くなり,PAIの奥にいる僕の瞳を観察する.
57:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 00:16:00.79 ID:uF4EMWqq0
「その・・・家が古くなってしまったので,近いうちに引っ越そうと思っていまして」
「あぁなるほど」
男仁さんは一瞬黙り込んだ後,唇をにっとゆがめた.
58:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 00:23:21.85 ID:uF4EMWqq0
それから,男仁さんからバイトの説明を受ける.
「WEBに載せた通り,会社の製品を運んでもらう仕事です.
この会社を含めた三地点を徒歩で往復してもらいます.
59:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 00:25:22.70 ID:uF4EMWqq0
ユウマ:詮索するな,と言っている
PAI:よほど大切な代物なのでしょう.口止め料込みの給料だと判断できます.
ユウマ:すこし嫌な予感がしてきた
60:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 00:30:13.68 ID:uF4EMWqq0
説明を受けた僕は,男仁さんに連れられて業務用エレベーターへ乗った.
エレベータ内は.一辺4mほどの直方体である.
そこらのホテルに設置されているものより大きいのではないか?
61:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 00:32:10.91 ID:uF4EMWqq0
男仁さんが首から掛けていた鍵を差し込み,地下2階のボタンを押す.
乗っている間,何一つ物音はしなかった.
自分の呼吸音すら,聞こえなかった.
62:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 00:43:47.86 ID:uF4EMWqq0
案内された倉庫は,学校の教室を3つ繋げた程度の広さはあるのではないかと考えられた.
段ボールが積まれたプラスチックの棚がまるで迷路のように設置されているせいもあるかもしれない.
倉庫の入り口からしばらく右左折を繰り返すうちに,鉄の錆びた匂いが鼻をついた.
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