6:名無しNIPPER
2018/02/09(金) 00:00:33.87 ID:kd0Dc5wl0
お腹が空きました。
龍驤さんにはああ言ったものの、十分。十分ですか、十分……。
じゅっぷんは、じゅうぶん長いようにも。
7:名無しNIPPER
2018/02/09(金) 00:01:01.06 ID:kd0Dc5wl0
「いらっしゃいませー、こんばんはー」
挨拶に手を挙げて返し、わたしはコミック、週刊誌の前を通り抜けてドリンク棚、そしてそこさえも素通りしておにぎりのコーナーへと向かいました。既にカゴは用意してあります。
8:名無しNIPPER
2018/02/09(金) 00:02:57.06 ID:kd0Dc5wl0
まず、いきなり変わり種を選ぶのはやめておきましょう。ここでの選択は食事の土台を構築します。熟達者ならまだしも、いまのわたしはあまりにも素人。変に手を出せば、上物ごと崩壊する危険性さえ孕んでします。
よって、わたしは鮭とおかかを手に取りました。
しかし、ここで不測の事態。お弁当が棚の下に並んでいたのです。とはいえ、この時間帯ですから種類はあまりありません。カレーと、幕の内、あとからあげ弁当。
9:名無しNIPPER
2018/02/09(金) 00:04:22.76 ID:kd0Dc5wl0
あとはここをベースとしてコースを組み立てていけばいいのです。おにぎりをカゴにいれた途端、それまで無数にあった道筋が、いくつかの有能な道だけを残して消えていくのがわかりました。
牛乳や紅茶はお米には合いません。よってオーソドックスなお茶を、しかし夜なのでカフェインの入っていない麦茶を選びます。
アイスの冷凍庫……は最後にしましょう。今選んでも溶けてしまうだけですから。
10:名無しNIPPER
2018/02/09(金) 00:04:49.96 ID:kd0Dc5wl0
えぇい、ままよ。小倉マーガリンのコッペパンをカゴに入れて、続いてプリンも叩き込みます。せめて薄目で見るにとどめて、せめてもの現実逃避。
しかしそうなると甘いものの割合が多い気がしてきます。甘い、しょっぱい、甘い、しょっぱい……魅惑のメリーゴラウンド。ここまできてその取り合わせを崩すことは、食の楽しみを自ら打ち捨てるようなもの。愚行です。最後にアイスも待っているのですから。
バランスをとるためにはしょっぱいものもあと一つか二つ、必要でしょう。
11:名無しNIPPER
2018/02/09(金) 00:05:16.61 ID:kd0Dc5wl0
そうなると汁物が俄然欲しくなってきます。ぐるりと棚を回って反対側へ、インスタントのラーメンが並んでいるその隣、カップスープの中から豆腐とわかめの御味噌汁を確保。
ラーメンなどのこってり系よりは、こういったあっさり系でしょうか。他に食べ物もあることですし。
そのままアイスのコーナーへ凱旋。少し奮発して、横文字の長い名前のものを。食べたいと思ったものを我慢するのは、ここに至っては罪悪でしょう。
12:名無しNIPPER
2018/02/09(金) 00:05:53.31 ID:kd0Dc5wl0
「あ、あと、アメリカンドッグをひとつ」
「かしこまりましたー」
13:名無しNIPPER
2018/02/09(金) 00:06:24.65 ID:kd0Dc5wl0
* * *
「やりました」
14:名無しNIPPER
2018/02/09(金) 00:06:56.67 ID:kd0Dc5wl0
「赤城は」
「寝ていました。明日が早いそうです」
15:名無しNIPPER
2018/02/09(金) 00:07:23.04 ID:kd0Dc5wl0
前々からずれているところがあるというか、マイペースな女だと思っていたが――そう、こいつは寡黙なのではなく、弩級にマイペースなだけだということを最近知った――加賀自身がそれに引っ張りまわされているようなきらいがある。
剥き終ったおにぎりが差し出される。
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