2:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 00:44:35.62 ID:2X1um2xF0
――都内某所の公園――
――ザァァ……
白菊ほたる「……はぁ」
3:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 00:45:21.65 ID:2X1um2xF0
――ジャカジャーン……
ほたる(目頭がだんだんと熱くなってきた私の耳に、不意にギターの音が聞こえてきました)
ほたる(不思議に思って広い公園を見回すと、ベンチに座り、三つ脚のパラソルスタンドに大きな青色の傘を立てて、アコースティックギターを弾いてる男の人がいました)
4:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 00:46:01.45 ID:2X1um2xF0
「悲観 楽観 交互に積み木崩し 振り返る度に痛む傷口 とうの昔に忘れたはずの笑い話」
「乗るか反るか? 行くか戻るか? 雨か晴れるか? やるか止めるか?」
「勝つか負けるか? 立ち上がれるか? やり直せるか? 生きるか死ぬか?」
5:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 00:46:53.56 ID:2X1um2xF0
「っ……」
ほたる(男の人はそれを聞いて辺りをキョロキョロと見回し、やがて私の存在に気付きました)
ほたる(しばらく無言で見つめ合っていると、男の人はベンチに立てかけてあったギターケースにギターをしまい、傘を手に持ってこちらに歩み寄ってきました)
6:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 00:47:28.73 ID:2X1um2xF0
――翌日 CGプロ――
ほたる「ここがCGプロダクション……思ってたよりもずっと大きい……」
ほたる(名刺の住所を頼りにやってきましたけど……本当に私なんかがこんな場所に来ていいんでしょうか……。また私の不幸体質のせいで、こんなに立派な場所が陰ってしまうとしたら……怖いです)
7:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 00:47:55.77 ID:2X1um2xF0
「はーい」
ほたる(ノックをしてすぐに女性の声がして、擦りガラス越しにこちらへ近づいてくるのが確認できます)
「お待たせしました、どちら様です……か?」
8:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 00:48:41.18 ID:2X1um2xF0
千川ちひろ「いやー、まさかウチのプロデューサーさんがアイドルのスカウトに成功する日が来るなんて思いませんでしたよ!」
P「…………」
ほたる(対応してくれた方――事務員の千川ちひろさんは最初に私の言葉を聞いて『そんなまさか』というような表情をしたあと、プロデューサーさんに取り次いでくれました)
9:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 00:49:22.31 ID:2X1um2xF0
ちひろ「呼び方は……ほたるちゃんでいいですか?」
ほたる「はっ、はい、大丈夫です」
ちひろ「はい、それじゃあほたるちゃん。早速でこんな事を聞くのも変なんだけど……昨日、ウチのプロデューサーさんにおかしな事とか言われませんでした?」
10:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 00:50:11.56 ID:2X1um2xF0
ちひろ「まぁ、こんな感じにですね……。ちょっと取っつき辛いですけど、根は悪い人じゃないんです。ただコミュ障なだけで」
P「刃渡り15センチのそれで最終的な自己帰結を試みたい」
ちひろ「はいはい、死なないで下さいね。せっかく初めてウチの部署にアイドルが来てくれたんですから」
11:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 00:50:44.32 ID:2X1um2xF0
ちひろ「プロデューサーさんもちゃんと話をして下さいね、ほたるちゃんや営業先の人と!」
P「変わらないものを変えるのは難しい」
ちひろ「もうその口調はとっくに諦めてるので誰とでもそうやって話せるようになって下さい」
12:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 00:51:23.73 ID:2X1um2xF0
P「…………」
ちひろ「それとほたるちゃんに関係があるんですか?」
ほたる「私……小さな頃からそうなんです……。私自身が不幸になるのもそうなんですけど、近くにいる人まで不幸にしてしまうんです……」
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