5:名無しNIPPER[sage]
2018/01/17(水) 00:46:53.56 ID:2X1um2xF0
「っ……」
ほたる(男の人はそれを聞いて辺りをキョロキョロと見回し、やがて私の存在に気付きました)
ほたる(しばらく無言で見つめ合っていると、男の人はベンチに立てかけてあったギターケースにギターをしまい、傘を手に持ってこちらに歩み寄ってきました)
「…………」
ほたる「あ、その……邪魔をしてごめんなさい……」
「…………」フルフル
ほたる(男の人は首を小さく横に振ると、私に傘を差しだしてきました)
ほたる「私に……?」
「…………」コクン
ほたる「でも、それだとあなたが……」
「…………」フルフル
ほたる(無言のまま差し出される傘。それをおずおずと受け取ると、男の人は今度は上着の胸ポケットから一枚の小さな四角い紙を取り出して私に差し出しました)
ほたる「名刺……ですか?」
「……自嘲気味に踏み出すその一歩は、今日も変わらず迷ってばかり」
ほたる「え?」
「それでもここに留まるよりはいくらかましだと信じてる」
ほたる(名刺も受け取った私を見て、小さな声でそう言いました。それから男の人は私に背を向けます。そしてベンチに立てかけたギターケースを手に、雨の中を歩いていきました)
ほたる(公園には青色の傘と名刺を手に、取り残される私が一人)
ほたる(寂しい雨音を聞きながら名刺に目をやると、そこには『CGプロダクション』の社名と住所、それに恐らくあの男の人の名前と所属部署)
ほたる(裏面を見ると、『アイドルに興味はありませんか?』という手書きの文字がありました)
――――――――――
―――――――
――――
……
118Res/135.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20