151: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/10(水) 22:16:38.04 ID:29K6rrFw0
「はい完成」
「うーん、凄い」
カバーも凄いが、千代美の手際も面白かった。そうか、私は読書をする千代美の事をほとんど知らないのかと気が付いた。
152: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/10(水) 22:18:49.00 ID:29K6rrFw0
「あいあいあーい」
そうかそうか、よろしくな。
153: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/10(水) 22:20:09.11 ID:29K6rrFw0
案の定、赤ん坊は手にした本を弄繰り始める。無論、読書などという概念はまだ形成されておらず、ただ紙の束で遊んでいるというだけだ。
当然、頁はくちゃくちゃになるが、千代美はそれを怒るでもなく、これはこうするんだぞーなどと言いながら、赤ん坊に頁の繰り方を教えている。
赤ん坊も、不思議に大人しく千代美の真似をして、頁を繰るようになった。
154: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/10(水) 22:22:18.87 ID:29K6rrFw0
「紗利奈、こんな所に居たの」
「あーい」
母親らしき女性が済みません、と頭を下げながら近寄ってくる。驚いたことに同世代か、年下かと思うほどの若い女性だった。
155: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/10(水) 22:23:42.75 ID:29K6rrFw0
そうだ。
我々はもう大学を出た。
年下の女性が赤ん坊を抱えていても、何らおかしな歳ではないのだ。
156: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/10(水) 22:36:00.94 ID:29K6rrFw0
【まほ(後)】
千代美は、仕方ないなといった風にため息をついて、静かに話し始めた。
またお化けの話になっちゃうんだけどさ、と前置きをする。
157: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/10(水) 22:39:43.46 ID:29K6rrFw0
「『鉄鼠』のシリーズの一作目のタイトルが『姑獲鳥の夏』だからな。さっき本屋で目に入ったんだろ」
「そういう事か」
「あと、うちにもあるし」
158: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/10(水) 22:40:54.57 ID:29K6rrFw0
「元は違うものだったんだろうけど、どっかで混同されちゃったんだろうな」
そこまで話して尚、千代美は次の言葉を言おうか言うまいか迷っているようだった。
まだ、千代美が何を言いたいのか分からない。
159: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/10(水) 22:42:14.06 ID:29K6rrFw0
「私だってそりゃ、赤ちゃん欲しいよ」
「恋愛小説なんか読むくらいだし、異性への憧れも人並みにある」
160: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/10(水) 22:43:38.45 ID:29K6rrFw0
んん。
済まない、としか言えなかった。
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