108: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/08(月) 12:15:44.84 ID:tFR3WIer0
【朱の盆】
【まほ】
109: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/08(月) 12:16:29.65 ID:tFR3WIer0
「んん」
つい癖で声を出し、しまったと思った。千代美は何故か私の『んん』のニュアンスから、今の心境をかなり正確に読み取ってくる。
普段ならただただ有り難いのだが、これは隠し事が出来ない側面も持つ。
110: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/08(月) 12:17:22.13 ID:tFR3WIer0
「あれー、まほ、さっき『全部干した』って言ってたよなあ」
彼女の声が背後まで迫ってきた。彼女の息が首筋に掛かる。ああ、もう駄目だ。
111: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/08(月) 12:18:14.26 ID:tFR3WIer0
「ダ、ダー、だあっ、ジ」
「んー、何かなあ、何を言おうとしてるのかなー」
「ちょっ、もっ、漏れっ」
112: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/08(月) 12:19:15.57 ID:tFR3WIer0
客がダージリンだったこと。
こちらの洗濯物が飛んできたから返しに来た、というのがダージリンの用件だったこと。
その洗濯物が『絹』だったこと。
こういう布は室内に干した方が良いんじゃないかしらとアドバイスされたこと。
113: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/08(月) 12:19:58.38 ID:tFR3WIer0
後半へ続く
114: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/08(月) 15:53:40.62 ID:tFR3WIer0
【千代美】
朝ごはんは食べた。二度目の洗濯物干しも終えたし、サンドイッチも出来た。さっきまでぐったりしていたまほも、まあ、回復した。
さあ、着替えてお化粧をして出発。
115: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/08(月) 15:54:23.10 ID:tFR3WIer0
「いや、私は化粧っ気というものが無いからな」
なんだ、そういう事か。
確かにまほは、全く化粧をしない訳じゃないけれど、私ほど時間を掛けない。だからそのぶん私より支度が早く済むので、一緒に出掛ける時はこうやって待たせてしまう。
116: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/08(月) 15:55:25.79 ID:tFR3WIer0
「千代美の変身を見るのは楽しい」
「あはは、変身か」
それこそまほじゃないけど、家事をやってる時は私だって化粧っ気が無いからな。よそ行きの顔になるのは、確かに変身だ。
117: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/08(月) 15:56:39.33 ID:tFR3WIer0
対して、まほは何も言わない。『んん』すら無いのは妙だなと思って、ちらりと横に目を遣ると、まほが俯いていた。
髪で顔が隠れて見えないので、どうしたんだろうと覗き込むと、見事に真っ赤になっている。
驚いて、熱でもあるのかと声を掛けた。
118: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2018/01/08(月) 15:57:53.23 ID:tFR3WIer0
おわり
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