23: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:24:39.91 ID:WtWlSgcZ0
「これなんか、どうだろう?」
24: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:26:20.17 ID:WtWlSgcZ0
お兄サンは、アタシおすすめのぬいぐるみをプレゼントに買っていくようだった。アタシの方は、缶バッジでも買っていこうかと思って、ふと思い付く。お兄サンは柚のことをなにげなく褒めてくれたからね。
25: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:27:17.53 ID:WtWlSgcZ0
◇
26: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:28:28.52 ID:WtWlSgcZ0
「他に参加されるお子様いらっしゃいませんかー」
27: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:29:08.05 ID:WtWlSgcZ0
目の前にいた5歳くらいの子が、お姉ちゃんも一緒に歌おうって声をかけてくる。これはもう逃げられなかった。しぶしぶと、合唱団のグループに加わって、お姉さんから楽譜を渡される。面倒なことは嫌だよーって気持ちが浮かんでは消える。
周りのみんなは、そんなに緊張してないのか、それとも幼すぎるのか、こんな状況を全然気にしてなくて、むしろ嬉しそうに見えた。そんなヒトたちを見ていると、さっきまであんなに羨ましかったクリスマスの空気に浸かってみると、なんだか暖かい。
28: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:29:53.44 ID:WtWlSgcZ0
ピアノの音が響き始める。
最初の1音目は多分外したと思う。それでも、周りのみんなの笑顔でどうでもよくなっちゃった。有名なクリスマスソングが小さな教会に響く。同じくらいの年の子からもっと小さな子まで、街にあったかさを届けるような声で歌う。
29: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:30:50.49 ID:WtWlSgcZ0
合唱団に放り込まれたアタシは妙な充実感をもらって、お兄サンのところに戻ってきた。なんだかとってもありがとって言いたい気分だった。でも、それはそれ。これはこれでしょっ。
30: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:31:45.70 ID:WtWlSgcZ0
◇
31: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:32:31.26 ID:WtWlSgcZ0
「アタシ、なにやってもフツウって、よく言われるよ」
「そんな子をアイドルにするのが俺の仕事だ」
32: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:33:37.64 ID:WtWlSgcZ0
「ね、お兄サン。アタシのどんなトコを気に入って、アイドルにスカウトしてくれたの?」
「それは……」
33: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:34:39.22 ID:WtWlSgcZ0
ニコニコ笑顔だったお兄サンも真面目な顔をする。その『本気』に、やっぱり少しだけ不安になって、手持ち無沙汰になった手をパーカーのポケットに突っ込む。ポケットの中にはあの時貰った名刺があって、それをお守り代わりにそっと撫でた。
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