喜多見柚「アタシにとっての奇蹟」
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33: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:34:39.22 ID:WtWlSgcZ0


 ニコニコ笑顔だったお兄サンも真面目な顔をする。その『本気』に、やっぱり少しだけ不安になって、手持ち無沙汰になった手をパーカーのポケットに突っ込む。ポケットの中にはあの時貰った名刺があって、それをお守り代わりにそっと撫でた。


 それから少しの間があった。長いような短いような沈黙が流れる。ほんの数秒なのか、もっと長い時間だったのか、とにかく世界がまた止まったような気がした。


「柚……アイドルになってみるか?」

「いいよっ。なるよっ。なりたい!」


 やった! ちゃんと言えたっ。何か面白いことないかなーと思ってぶらついてたら、アイドルにスカウトされちゃうなんて!


「こんな面白いコト、そうそう無いよね? アタシ、実はラッキーだったのかな! なーんて! へへっ!」


 怖かった気持ちをごまかして、そう笑った。アタシの返事を聞いたお兄サンは今日イチバン嬉しそうな顔をしてた。


「じゃあ、これからはプロデューサーとアイドルだなぁ」

「プロデューサー……プロデューサーサン。んー、しっくりこないから、Pサン!」

「ははっ。好きなように呼んでくれ」


 Pサンは、スマートフォンを何か操作して、どこかに連絡しているみたいだ。事務所かな?と思っていたら、Pさんにぱっと手を引かれた。


「それじゃあ、アイドル柚の最初のお仕事といこうか」


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