【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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310:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 22:23:41.26 ID:LVapeV8q0

「さぁ、王女様? 闇に飲まれ消滅した亡国の王女様? 逃げ惑う臣民を見捨てて逃げ出した王女様?」

 ゴドーの声は嗜虐的にラブリを責め立てる。

「あなたに紋章とブレスを持つ資格はございません。わたくしめにお渡しくださいな」

 ああ、そうだ。その通りだ。ラブリは何もできず、逃げ出したのだ。

 必ず救うと誓って、このホーピッシュの地に降り立ったのだ。

 けれど、結局何もできていない。愛のプリキュアにふさわしい人物も見つからない。

 ゴドーの言うとおり、これではただ逃げ出しただけだ。闇に飲み込まれたロイヤリティから、逃げ出しただけの臆病者だ。

「――……レプっ」

「あら? 渡してくださる気になったのかしら」

 ラブリの声にならない声に、ゴドーの手が緩む。ラブリはだから、それを口にすることができた。

「……それでも、やり遂げることが、ある、レプ……!」

「っ……。それが無駄だと言っているのよ!」

「闇に身をやつした、アンリミテッドの者には、分からないレプ。ここで諦められないから、立ち上がるレプ。ここで潰えるわけにはいかないから、戦うレプ……!」

 ギリリ、と。今度は猛烈な力が込められた。憎しみがそのまま表層に表れたかのように、ゴドーの笑みが消え、怒りとも憎しみともつかない激烈な表情が浮かぶ。

「あんたによくそんなことが言えたものね……! あんたたちのせいで、あたしたちは……ッ!」

 こもった力に、ラブリは抜け出すことができない。それでも、ほとんど力の入らない両手に力をこめる。少しでもアンリミテッドの力に抗おうと、力をこめる。たとえ彼我の戦力差がどうであれ、ラブリがあきらめていい理由には、ならない。

「早くブレスと紋章を渡しなさいよ! あんたが持っていたって、もう意味のないものなのよ!」

「あきらめない、レプ……。救うレプ……。絶対に……絶対に、取り戻すレプ……!」



「「ラブリ!!」」


 ああ、どうしてだろう。

 さっき、あんなにもひどいことを言ってしまったというのに。

 どうして彼らは、自分の名を呼んでくれるのだろう。

 そして、どうして、こんなにも。

 こんなにも、自分は、この声を聞いて、安心してしまっているのだろう。

「プリキュア……!」

 ゴドーが震えた声を上げる。かすむ目で、ゴドーの目線の先を追う。

 そこには、勇気の王子と優しさの王女に伴われた、ふたりの少女の姿があった。



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