【オリジナル】ファーストプリキュア!【プリキュア】
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309:名無しNIPPER[saga]
2018/02/25(日) 22:23:14.91 ID:LVapeV8q0

 遠く、声が聞こえた気がした。それは、聞こえるはずのない声。ロイヤリティが闇に飲まれ、消滅する直前。ラブリたちが、ホーピッシュヘと旅立つ直前。最後かもしれない、母と父の、己を呼ぶ声。

 両親にさしたる感慨があるわけではない。

 むしろ、公務で忙しく、放任主義の母と父は、厳しい言葉をかけてはくれるが、優しい言葉をかけてくれることは多くはなかった。

「……ラブリ、は……っ」

 倒れるわけにいかないだろう。ここで。王族としての、責務を真っ当せぬまま。朽ちていくわけにはいかないだろう。

「まだ、やらなければならないことが、あるレプ……」

 たとえ情けなくたって、なんだって、やらなければならないことがある。

 倒れている場合では、ない。

「お父様を、お母様を、臣民を……救わないといけないレプ……」

 けれど。



「救わないといけない? 救うべき臣民もいないのに、何を言っているのかしら」



「レプ……!」

 情けなく立ち上がったラブリを、冷たく見下ろす瞳がふたつ。思い起こされる、愛の国が滅ぼされたときのこと。燃え上がる愛の国の街並みを見下ろしながら、酷薄に笑う顔。忘れもしない。愛の国を滅ぼしたアンリミテッドの戦士――、

「ご、ゴドー……!」

「あら。名前を覚えていてくださったなんて、光栄ですわ。愛の王女、ラブリ・ラブリィ様」

 くすくすと、まるで普通の少女のように、黒衣の戦士は笑う。

「冷たい冷たい愛の国の王族ですもの。下々の者の名前なんて、すぐ忘れてしまうものと存じておりましたのに」

「も、紋章とブレスは渡さないレプ!」

「それをお決めになるのは、ラブリ様ではないのですよ」

 ゴドーは身をかがめると、恐怖と極度の疲労で動けないラブリを、なんでもないことのようにすくい上げた。

「は、はなすレプ!」

「紋章とブレスをいただければ、王女様に用はございません。はなして差し上げますよ?」

「渡せないレプ! これは、ロイヤリティを救う最後の希望レプ!」

「わがままな王族は臣民に嫌われましてよ? まぁ、もう手遅れですけれど」

 キリキリと、まるでラブリが苦しむ様を楽しむように、ゴドーの両手が少しずつラブリの身体を締め付ける。



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