42: ◆JDH1DmZBjFQa[saga]
2017/12/15(金) 20:45:05.25 ID:TXSil8FD0
「へぇ、どうしてなの?」
志希「飛鳥ちゃんは面白いから」
「面白いからでアタシを縛るなんてヒドイね。何回も言うけどもう既にアスカちゃんは別に居るの」
志希「あんなの飛鳥ちゃんじゃない。あんな子と一緒に放浪したりなんかしてない」
「大丈夫だよ。記憶は彼女にちゃんと受け継がれてるだろうから」
志希「そしてキミも飛鳥ちゃんなんかじゃない」
「もう、シキちゃん。言ってることがめちゃくちゃだよ」
志希「自分探しをやめた飛鳥ちゃんなんて面白くない」
「だけどね、アタシがフレデリカらしくなろうとしてるのはさっき言った通りで」
志希「抵抗しようとしないで諦めちゃってフレデリカになろうとしている。キミは自分が何者か知りたいんじゃなかったの?」
「でも、その時シキちゃんは答えなんてないって言ったよ」
志希「それでも、考え続けるのが飛鳥ちゃんなんだよ」
「……成立してない理論を押し通すなんてらしくないよシキちゃん」
志希「ヒトって不思議だよね。いつのまにか自分の意思が変わっちゃうんだから」
志希「それって進化と思われるけど、捉え方によっては退化ともとれるよね。自己犠牲は美徳だけれど、アイデンティティを捨てた人間なんてつまらない存在だから」
「だとしたらなに? アタシはもうキミにとってつまらない存在になり下がったというの?」
シキちゃんは俯いたまま何も答えてくれなかった。
「何か言ってよ……!」
志希「あたしは、」
彼女は言葉を遮るようにして呟きだす。
志希「あたしが飛鳥ちゃんに戻ってきてほしい」
志希「いつも物憂げに窓を眺めたり、わざわざ砂糖を入れてまでコーヒーに拘ったり、たまに哲学的なことを呟いたり。あたしはそんな飛鳥ちゃんが好きだった」
シキちゃんの眼は水で薄い膜が張られているように見えた。前髪はいつもより乱れている。
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