橘ありす「二人ぼっちのアリス」
1- 20
29:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:20:02.69 ID:/E20kLoAo
「ううん、そんなことないよ。先生も、橘さんとお話できて、嬉しいもの」

「そうですか」と、ありすはやっと表情を和らげる。

 放課後、私たちはいろいろな話をした。
以下略 AAS



30:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:20:42.29 ID:/E20kLoAo
「歌手に……」

 引っ込み思案な子だとばかり思っていたせいか、すこし意外な気がした。
 けれど、こうして接すると、もともとは活発な性格の子なのかもしれない。

以下略 AAS



31:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:21:20.65 ID:/E20kLoAo
「このあいだ、母に話したんです」

「歌手になりたいっていう夢を?」

「はい。オーディションを受けたいって」
以下略 AAS



32:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:22:30.06 ID:/E20kLoAo
「だって、反対するじゃないですか、フツウ。
 歌手なんて厳しい道で、……それに、調べてみたら私の年齢じゃ、条件に合わないところも多くて」

「ああ、12歳だと受けられないところもあるのね」

以下略 AAS



33:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:23:32.45 ID:/E20kLoAo
「反対するのがフツウじゃないですか。
 夢みたいなことだって、条件だって満たしてないのに。
 母は……ちょっと親バカなんです。話を聞いてすぐ申し込んじゃうし、問い合わせまでしちゃって」

 そんな風に、ありすはポツポツと愚痴をこぼした。
以下略 AAS



34:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:24:39.04 ID:/E20kLoAo
「橘さん」と、私は彼女の言葉を遮った。

「オーディションが急に決まって、しんどいよね」

「いえ、……あの、私が言い出したことなので」
以下略 AAS



35:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:25:55.46 ID:/E20kLoAo
「先生ってすごいですね」

 そう言って、ありすは頬を掻いた。

「どうしてそう思ったの?」
以下略 AAS



36:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:26:41.66 ID:/E20kLoAo
 きっと違う。ありすは誤解している。
 たぶん、ありすの母が、ありすをすこしだけ誤解しているように。
 けれど、それを知らせることは私の仕事でないような気がして、言葉を飲み込んだ。
 教師というのは、こういうとき損な役だ――、と思った。

以下略 AAS



37:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:28:12.26 ID:/E20kLoAo
 ――――

 週明け、秋雨は乾いた。
 窓にはピンと張った布のように凪いだ空――、どこまでも透き通って、宇宙まで青い色を届けそうだった。
 雲が細く連なって、風の形を描いているのを見ると、気持ちもなんだか清々しい。
以下略 AAS



38:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:29:35.30 ID:/E20kLoAo
「不合格でした」

 私があんまり残念そうな顔をしていたせいかもしれない。
 ありすは大人びた笑いを浮かべて、延々とオーディションの話を続けた。

以下略 AAS



39:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:30:52.53 ID:/E20kLoAo
「母も、ずいぶん残念がってましたけど、……だけど、甘いんですよ。
 そうは思いませんか?」

「どうかな、先生は……」

以下略 AAS



97Res/51.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice