36:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:26:41.66 ID:/E20kLoAo
きっと違う。ありすは誤解している。
たぶん、ありすの母が、ありすをすこしだけ誤解しているように。
けれど、それを知らせることは私の仕事でないような気がして、言葉を飲み込んだ。
教師というのは、こういうとき損な役だ――、と思った。
言わなきゃ、言わなきゃとわかっていることを、それでも黙っていなければならない。
「気をつけて帰ってね」
私が手を振ると、ありすは恥ずかしそうに手を振り返した。
雨の音は廊下の暗闇に散ると、風に舞う砂のように響いて行った。
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