29:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:20:02.69 ID:/E20kLoAo
「ううん、そんなことないよ。先生も、橘さんとお話できて、嬉しいもの」
「そうですか」と、ありすはやっと表情を和らげる。
放課後、私たちはいろいろな話をした。
彼女の好きな小説や、私の昔話。
以前話したきり、ありすという名前については話題に出さなかった。
「あの、……ところで、先生は、音楽は好きですか」
ある日、ありすはふっとそんなことを言った。
「うん、好きだよ。橘さんは?」
「私も、好きです。だから、先生、ピアノ弾けて羨ましいです」
「習ってみるのも楽しいんじゃない? きっとすぐ弾けるようになるよ」
「ずいぶん前、母に勧められたんですけど、断っちゃって」
ありすはちょっと目を伏せて、それからためらいがちに言葉を続けた。
「あの、私、将来、歌手になりたいんです」
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