橘ありす「二人ぼっちのアリス」
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24:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:10:04.15 ID:/E20kLoAo
「でもね、やっぱり昔はアリスって名前、嫌だったなぁ」

 高校のときの英語教師は、私をチャンピオンと呼んだ。
 それが嫌で嫌で仕方がなくて、なるべく目立たないよう目立たないよう、できることなら透明人間になりたいとさえ思っていた。
 それを変えたのは、同じクラスの男の子だった。
以下略 AAS



25:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:11:16.14 ID:/E20kLoAo
「そうなんですか」と、ありすはちょっと顔を赤らめた。「それで、その人は……?」

 まんざら興味がないわけではないらしい。私はフフンと鼻を鳴らした。

「いまの旦那さん」
以下略 AAS



26:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:14:17.70 ID:/E20kLoAo
「あなたは? 名前の由来」

「ええ。恥ずかしいんですけど、母に聞いたら……」

 ――と、そのとき、ありすのタブレットが、短く振動した。
以下略 AAS



27:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:15:59.42 ID:/E20kLoAo
「ただ、かわいいからって。それだけですよ」

 そのときの彼女の表情に、私は思わず言葉を詰まらせてしまった。
 私が12歳の頃、きっと同じ顔をしていたから。

以下略 AAS



28:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:18:23.89 ID:/E20kLoAo
 ――――

 秋口、ありすと放課後を一緒に過ごすことが多くなった。

「母は心配症なんです」と、ありすはよく話した。
以下略 AAS



29:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:20:02.69 ID:/E20kLoAo
「ううん、そんなことないよ。先生も、橘さんとお話できて、嬉しいもの」

「そうですか」と、ありすはやっと表情を和らげる。

 放課後、私たちはいろいろな話をした。
以下略 AAS



30:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:20:42.29 ID:/E20kLoAo
「歌手に……」

 引っ込み思案な子だとばかり思っていたせいか、すこし意外な気がした。
 けれど、こうして接すると、もともとは活発な性格の子なのかもしれない。

以下略 AAS



31:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:21:20.65 ID:/E20kLoAo
「このあいだ、母に話したんです」

「歌手になりたいっていう夢を?」

「はい。オーディションを受けたいって」
以下略 AAS



32:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:22:30.06 ID:/E20kLoAo
「だって、反対するじゃないですか、フツウ。
 歌手なんて厳しい道で、……それに、調べてみたら私の年齢じゃ、条件に合わないところも多くて」

「ああ、12歳だと受けられないところもあるのね」

以下略 AAS



33:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:23:32.45 ID:/E20kLoAo
「反対するのがフツウじゃないですか。
 夢みたいなことだって、条件だって満たしてないのに。
 母は……ちょっと親バカなんです。話を聞いてすぐ申し込んじゃうし、問い合わせまでしちゃって」

 そんな風に、ありすはポツポツと愚痴をこぼした。
以下略 AAS



34:名無しNIPPER[saga sage]
2017/11/09(木) 13:24:39.04 ID:/E20kLoAo
「橘さん」と、私は彼女の言葉を遮った。

「オーディションが急に決まって、しんどいよね」

「いえ、……あの、私が言い出したことなので」
以下略 AAS



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