1: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/12(火) 06:28:36.79 ID:UqQkvsyl0
※都合、ミリマスメンバーは名前ぐらいしか出て来ません。
===
例えばだ。
天海春香のようにそこそこ売れて来たアイドルは、
やはりそこそこ忙しい仕事の日々を送っている。
が、それでも四六時中予定に追いかけられてるワケじゃない。
ちょっと彼女のスケジュール帳を覗いてみれば分かる通り、
仕事やレッスンの合間にはそれなりに隙間の時間がある。
つまりは今、使い込まれた事務所の談話用ソファに腰かけて、
開封したばかりのチョコ菓子をポリポリ齧りながらファッション雑誌に目を通す。
そんな自由な時間がそこ売れの春香にはあったワケだ。
「はー、仕事の合間のお菓子タイム。最高っ!」
この束の間の休憩時間をしみじみと、文字通りチョコの甘みを味わいながら春香が呟く。
時間にしておよそ二十分程度の休みだが、
今の彼女にはその一分が二倍にも三倍にも感じることが出来ていた。
……とはいえ、それもこの憩いの時を脅かす、
騒々しい乱入者がこの場に現れるまでだったが。
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2: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/12(火) 06:30:27.00 ID:UqQkvsyl0
「春香っ! 良かった、事務所に戻って来てたのね!」
突如、乱暴に開け放たれた事務所の扉。
その大きな音に驚いて、春香が首だけをそちらに向ける。
3: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/12(火) 06:32:05.34 ID:UqQkvsyl0
「ふああぁぁぁ……っ!!?」
まるで魂が抜けていくような悲鳴を上げた春香を他所に、
千早が彼女の前を横切ってソファの空いている場所に腰を降ろす。
4: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/12(火) 06:33:23.22 ID:UqQkvsyl0
「ちょっと、千早ちゃん!?」
「ああ、お礼なんていらないから。それで私の相談なのだけれど」
5: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/12(火) 06:35:07.05 ID:UqQkvsyl0
「とにかく、そのミリシタが私を悩ませるのよ!」
ダン! と強く、千早がテーブルに拳を振り下ろした。
6: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/12(火) 06:36:52.45 ID:UqQkvsyl0
「もしかして千早ちゃんも、杏奈ちゃんや百合子ちゃんみたいにお給料全部使っちゃった?」
口にして、春香は「マズいなぁ」と心悩まし始めていた。
7: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/12(火) 06:38:40.64 ID:UqQkvsyl0
「それにお給料の話なら、春香より私の方が断然多く稼いでるから」
「あ、そう」
8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/12(火) 06:42:15.64 ID:UqQkvsyl0
さて、そうしてだ。
千早のように携帯を通話とメールでしか使わないような人間にとってみれば、
ガラケーと入れ替わりで世間に普及した多機能スマホは恐怖の対象でしかないのである。
9: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/12(火) 06:44:29.45 ID:UqQkvsyl0
「できないじゃんミリシタ! 千早ちゃんの携帯じゃ!」
春香の叫びが事務所に響く。
千早が深いため息とともに肩を落とす。
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